2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米田 美佐子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40361620)
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Keywords | ニパウイルス / リバースジェネティクス系 |
Research Abstract |
本研究の目的はニパウイルスのreverse genetics系を作製し、これをウイルス学的基礎研究およびワクチン開発などの応用研究に有用なツールとして確立することである。平成17年度は、ニパウイルス感染細胞から抽出したRNAをもとに、ウイルスゲノム全長(約19kb)を組み込んだプラスミドおよびウイルスレスキューに必要なN、P、L蛋白を発現するためのプラスミドを作製した。これらのプラスミドを用いて、フランス国立医学研究所(INSERM)のP4施設内でウイルスレスキュー実験を行なった。その結果、遺伝子から感染性ニパウイルスを作出することに世界で初めて成功した。平成18年度には、前年度までに確立したリバースジェネティクス系を用いてEGFP発現ニパウイルスを作出することに成功し、各種細胞への感染性の有無を調べた。その結果、ニパウイルスのリセプターの発現とウイルス増殖の有無が一致しない細胞があることを見いだした。さらに、ウイルスのインターフェロン耐性などへの関与が考えられている、アクセサリー蛋白の機能を解析するため、V,C,Wそれぞれを欠損させたウイルスの作出にも成功した。これら組換えウイルスの性状については、現在解析を行なっている。 さらに、ニパウイルスのN,P,M,Lの構造蛋白について大腸菌発現系を作製した。各蛋白にはGSTタグを付加し、このタグを利用して大腸菌のlysateから目的の蛋白を回収精製した。精製した蛋白をウサギに免疫してポリクローナル抗体を作製した。これら抗体は、各蛋白の細胞内動態解析の基礎研究、また感染動物からの抗原の検出やサンドイッチ法での抗体診断等にも役立てられる。 本研究成果により、組換えニパウイルスの作製が可能になり、ウイルス学的基礎研究、ワクチン開発などへの応用が期待される。
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