2005 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子AP-4によるHIV遺伝子発現抑制機構の解明
Project/Area Number |
17790309
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今井 健一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (60381810)
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Keywords | HIV-1 / AP-4 / TBP / HDAC / TATA box / 転写 / repression / 潜伏感染 |
Research Abstract |
[研究目的] HIV-1プロモーターにはTATAボックス近傍にAP-4結合部位が存在するが、その意義は十分には解明されていない。AP-4はHLH型の転写因子であるが、AP-4による遺伝子発現の詳しい制御機構については不明である。そこで、HIV-1転写制御におけるAP-4の意義とそのメカニズムを解析した。 [研究成果] HIV-1の自然宿主細胞であるT細胞および単球系細胞にAP-4を発現させると、HIV-1 LTRからの基礎転写およびTNF-αやTatによる転写誘導が抑制された。AP-4の種々の変異型AP-4を用いた実験より、DNA結合ドメインが必須であることがわかった。また、AP-4 siRNAの導入によりLTRの活性が上昇した。従って、AP-4はHIV-1遺伝子発現において内在性の抑制因子として機能していることが示唆された。AP-4の結合部位がTATA boxの近傍に存在することから、AP-4がTBP(TFIID)の結合を阻害している可能性が推察された。EMSAを用いた実験でAP-4は濃度依存的にTBPのLTRへの結合を抑制し、in vivoにおいてもAP-4と共にTBPを培養細胞に強発現させるとAP-4による抑制作用が解除された。また、本来のAP-4結合部位を変異させ、TATA boxから離れた部位に同部位を挿入したところAP-4の転写抑制作用が消失した。さらに、IP-WB法とChIP assay の結果から、AP-4はHDACをリクルートしていることが認められた [結論と考察] AP-4はLTRのTATAボックスをマスクしTBPの結合を阻害するとともに、HDACをリクルートすることによってHIV-1の転写を負に制御していることが明らかとなった。今後、HIV複製に対するAP-4の効果を検討していく予定である。
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Research Products
(3 results)