2005 Fiscal Year Annual Research Report
EBV感染上皮細胞におけるケモカイン発現制御機構の解明
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17790311
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中山 隆志 近畿大学, 医学部, 講師 (60319663)
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Keywords | ケモカイン / EBV / EBV感染B細胞 / 上咽頭癌 / 加齢性EBV関連B細胞リンパ増殖症 / ホジキンリンパ腫 / EBV潜伏遺伝子 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
上皮細胞でのケモカイン発現に対するEBV感染の影響を明らかにするため、上咽頭癌(NPC)細胞株、EBV陽性と陰性の上皮細胞株を用い、RT-PCR解析によりこれまでに報告されている43のケモカインの発現解析を行った。さらに、これらのEBV感染上皮細胞とEBV感染B細胞(EBV不死化B細胞、バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫)におけるケモカイン発現プロファイルの比較解析により、EBV感染B細胞ではTh2型ケモカインTARC/CCL17とMDC/CCL22の発現が特異的に誘導され、EBV感染上皮細胞では対照的にTh1型ケモカインMIG/CXCL9とIP-10/CXCL10の発現が特異的に誘導されることが明らかとなった。また、EBV感染上皮細胞はEBV感染B細胞と同様に、MIP-1α/CCL3、MIP-1β/CCL4とRANTES/CCL5を構成的に発現していた。これらのEBV感染B細胞またはEBV感染上皮細胞に特異的なケモカインの発現誘導は、それぞれの疾患に特有の病態形成に密接に関与すると考えられる。そこでEBV関連上皮系腫瘍の病態形成におけるケモカインの役割を臨床検体で明らかにするため、上皮系腫瘍としてはNPCおよびリンパ腫系腫瘍としてはおもに加齢性EBV関連B細胞リンパ増殖異常症(SLPD)の腫瘍組織を用いてケモカインおよびケモカインレセプターの免疫染色を進めている。今後、免疫染色によりケモカイン発現と反応性細胞浸潤やそれぞれの腫瘍に特徴的な病態との相関性について検討する。また、EBV感染そのものによるケモカイン発現制御機構を明らかにするため、ケモカイン発現とEBV潜伏遺伝子発現との相関性についても解析し、個々のEBV潜伏遺伝子の強制発現やsiRNAによる発現抑制のケモカイン発現に対する影響についても検討する。
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