2005 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経障害をおこす手足口病ウイルスの感染機構に関する研究
Project/Area Number |
17790314
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
西村 順裕 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (00392316)
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Keywords | 感染症 / ウイルス / 生体分子 / 蛋白質 / レセプター |
Research Abstract |
本研究は、enterovirus71型(EV71)が細胞に感染する際に認識する、細胞膜上レセプターの同定とその分子ウイルス学的解析を目的とする。本研究の遂行にはEV71粒子が必要となるが、この点に関して、平成17年7月〜8月にかけChinese Center for Disease Control and Prevention (Dr.Xu Wenbo研究室)において研究を行い、EV71粒子形成にかかる成果を上げることができた。さらに、中国の研究者から本研究課題に対する助言を得ることもできた。 本年度は候補蛋白質の同定を目指したが、成果は以下のとおりである。 (1)EV71感受性細胞とEV71非感受性(EV71に結合しない)浮遊系細胞を検索し、数種類のリンパ球系細胞を選別した。 (2)EV71感受性であるVero細胞およびRD細胞mRNAよりcDNA作製し、レトロウイルス発現用プラスミドを用いてライブラリーを作製した。 (3)vesicular stomatitis virus glycoprotein (VSV-G)発現プラスミドと(2)のライブラリーとを、レトロウイルスパッケージング細胞へ導入した。VSV-Gを表面にもち(あらゆる細胞への感染能をもち)、ライブラリー遺伝子を内部に取り込んだレトロウイルスの産生を確認した。 (4)レトロウイルスライブラリーを(1)で選別したEV71非感受性浮遊系細胞へ感染させ、EV71結合プレートを用いたパンニング法によるスクリーニングを行った。しかし、現在までに特異的なクローンは得られていない。この原因として、パンニングプレートへのEV71結合量が不十分である可能性が考えられる。EV71粒子を大量に調整することは困難であるため、現在バキュロウイルス系を用いたEV71ウイルス様粒子の大量発現を試みており、今後パンニング法に使用予定である。
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