2005 Fiscal Year Annual Research Report
患者評価による医療の質評価の新たな手法の開発と実践
Project/Area Number |
17790344
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 武志 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (00364167)
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Keywords | 医療の質 / 患者評価 / 患者満足度 |
Research Abstract |
医療の質を測定するひとつの方法として、患者満足度を測定する取り組みが行われてきた。わが国でも、患者満足度調査が各医療機関において頻繁に行われるようになった90年代以降の段階で、満足度調査を超える測定方法についての議論はほとんどなされていない。 そこで、本研究では、(1)医療の質の評価を、患者の視点から適切に行える評価手法の開発を行い、(2)評価手法の開発と同時に、臨床現場で活用しやすい評価結果・評価データを提示するシステムを検討する。平成17年度の研究では、医療の質の評価の手法について概要をレビューし、再検討をおこなった。そのうえで、医療従事者へのインタビュー、および既存の患者満足度調査等の再分析を行い、患者から見える範囲の医療の質と医療従事者が考える医療の質の違いについて分析し、患者評価による医療の質評価の方法について検討した。その結果、医療の質の評価、質の標準化、不確実性・不安定性という点で、医療従事者と患者の間には、その観点、考え方に大きな乖離が見られた。例えば、医療従事者が提供する治療や判断の個人差は、患者の側からすると理解不能であるが、現実的には能力や資質の差を含めて違いがあるのは、医療従事者から見れば通常のことである。また、医師が診断を確定していくプロセスにおいては観察・情報収集の積み重ねによって疾病を確定させる作業を踏んでいくが、患者の側にはそのプロセスは見えにくく、不確実な状況におかれ続けることに不満を感じる。また、医療は患者の個別性が高く、患者の予後に関する予見性も患者が思っているほど実際には高くない。結果的に良くないことが起きた場合にも、その責任をどこかに帰属せずにはいられないのが患者である。以上のように、患者から見える範囲での医療の質を検討しながら、具体的な評価方法の開発と実践を平成18年度にすすめる。
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