2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790348
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小出 大介 The University of Tokyo, 医学部・附属病院, 客員准教授 (50313143)
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Keywords | 癌 / 抗生物質 / 情報工学 / データベース / 薬剤反応性 / ケースコントロール研究 / 薬剤疫学 / リスク |
Research Abstract |
抗生物質の使用による乳癌発生を検討するため、ケースコントロール研究を実施した。本年度は病院情報システムからのデータを解析した。なお個人が特定されるデータは含まれない。 データは1996年4月から2007年3月迄の11年間で、その間に乳癌の確定診断をされたのは337人、乳癌の疑いや乳癌治療薬や検査から乳癌が疑われる患者を含めると447人で、総計784人が乳癌または乳癌の疑いと認められた。そして年齢でマッチングしたコントロール群は、ケースの3倍(1011人及び2352人)選んだ。なおケースもコントロールも交絡を避けるため、子宮摘出患者は除外した。 抗生物質投与後に乳癌が確定した患者は45人(13%)で、抗生物質投与後に乳癌の疑いがあるとされた患者は20人(4.5%)、あわせて65人(8.3%)であった。一方、コントロール群の内、抗生物質を投与された患者は208人(20%)と550人(23%)であった。抗生物質投与後に乳癌になるかのオッズ比は、乳癌の確定診断に限ると0.6(95%信頼区間(CI):0.4〜0.8)、乳癌の疑いも含めると0.3(95%CI:0.2〜0.4)となった。この結果からは抗生物質投与で乳癌のリスクをあげるとはいえない。むしろリスクを下げているようにみえるが、これは抗生物質投与後に乳癌となったケースがコントロール群の抗生物質使用者に比べて極端に少なかったことに起因する。結果としては昨年のレセプトの結果と類似するが、本年度に抗生物質投与後に乳癌を発症した患者が多くなったのは、病院情報システムが10年を超える長期のデータを保管できているからである。しかし病院清報システムでも診療所など他の医療機関で受ける医療情報を得られず、確実な追跡ができないなど限界もある。
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