2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性胃潰瘍の治癒におけるCOXアイソザイムおよびEP受容体サブタイプの役割
Project/Area Number |
17790351
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 晶子 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (30329940)
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Keywords | 慢性胃潰瘍 / シクロオキシゲナーゼ / プロスタグランジン / EP受容体 / 血管新生 / 増殖因子 |
Research Abstract |
前年度研究において、慢性胃潰瘍の治癒過程においてはCOX-2由来のPGが重要な役割を果たしていることが判明した。本年度はPGE受容体であるEP1〜4の胃潰瘍治癒における役割について検討した。 非選択的COX阻害薬の投与は胃潰瘍の治癒を有意に遅延させた。このCOX阻害薬による胃潰瘍治癒遅延に対する、各EP受容体作用薬の影響を検討したところ、EP4受容体作用薬は胃潰瘍治癒遅延に有意に拮抗したが、EP1、EP2、EP3の受容体作用薬は何ら影響を示さなかった。さらに、胃潰瘍の自然治癒に対して、EP4受容体拮抗薬およびCOX-2阻害薬の投与は同等の治癒遅延作用を示した。 胃潰瘍辺縁部において血管内皮増殖因子(VEGF)の発現は有意に増大したが、EP4受容体拮抗薬およびCOX-2阻害薬の投与はこのVEGF発現を著明に抑制した。また、胃潰瘍部における新生血管数はEP4受容体拮抗薬およびCOX-2阻害薬の投与により有意に抑制された。さらに、ラット潰瘍底部由来の繊維芽細胞を用いin vitroにおいて増殖因子発現を検討したところ、PGE2の培地への添加は繊維芽細胞中のVEGF発現を増強したが、この作用はEP4受容体拮抗薬の併用により阻害された。 以上、慢性胃潰瘍の治癒過程においてCOX-2由来のPGは、EP4受容体を介して、増殖因子発現や血管新生を調節することで治癒に貢献するものと考えられる。
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Research Products
(6 results)