2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性菌および耐性遺伝子の院内伝播形式とそれに相関する危険因子の統合的解明
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17790354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高倉 俊二 京都大学, 医学研究科, 助手 (10378630)
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Keywords | Enterobacter cloacae / 薬剤耐性 / インテグロン / 遺伝子型 / 院内伝播 |
Research Abstract |
初年度として、広域セファロスポリン耐性率の増加が指摘されているグラム陰性桿菌Enterobacter cloacaeを対象として選択した。伝播性の耐性遺伝子としてインテグロン遺伝子に着目し、インテグロン構造に関連した遺伝子intI1,intI3,sul1,aac(6')-1bのPCRによる検出法を確立した。ついで、院内水平伝播の判定に用いる遺伝子型分析法として、ERICプライマーをもちいたPCR(ERIC-PCR)法を試み、条件設定を行った。 これらと薬剤耐性との相関を検討するべく、2004年上半期に、当院消化器系の外科の患者から分離されたE.cloacae菌株を対象として実験を行った。65株(48患者)の対象株のうちintI1遺伝子は35株(54%)で陽性、うち18株ではsul1またはaac(6')-1bも陽性であった。インテグロン関連遺伝子の保有はimipenemを除くβ-lactumとaminiglycosideに対する耐性および多剤耐性に有意に相関していた。水平伝播クラスター株(25株38%)は薬剤耐性およびインテグロン関連遺伝子保有と有意に相関していた。同一遺伝子型8クラスターのうち、3クラスターはintI1/intI3保有株と非保有株の両者を含み、保有株では非保有株と比べてMICが上昇していた。以上よりE.cloacae臨床分離株において、インテグロンの獲得と抗菌薬多剤耐性および水平伝播の3者間の正の関連関係が明らかとなった。また、インテグロン自体の獲得が院内伝播のレベルとして起こっていることの傍証がえられた。 (これまでの成果は第45回Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy(平成17年12月、ワシントンDC、米国)にて発表した。)
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