2005 Fiscal Year Annual Research Report
凝集反応を用いたウイルスの新しい迅速検出法の開発と応用
Project/Area Number |
17790356
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中村 教泰 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10314858)
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Keywords | ウイルス / 抗体 / 凝集 / 蛍光 / 可視化 / 迅速診断 / 簡易迅速検査 |
Research Abstract |
ウイルスは通常の光学顕微鏡では観察できない。蛍光標識した抗体などの多価結合体と反応させることにより蛍光色素を取り込んだ蛍光凝集体を形成させ蛍光顕微鏡下にて可視化できる現象(蛍光凝集可視化現象)を発見した(特許国際公開番号WO2003-060519)。この現象を利用して微量の検体中のウイルスを迅速に検出できる極めて有用性の高い迅速検出法の開発と応用のため研究を進めている。これまでバクテリアファージを用いた迅速検出実験を行い成功している。本研究ではこの蛍光凝集可視化現象の応用としてヒトに感染する病原性ウイルスの検出実験を開始した。enveloped virusである単純ヘルペスウイルス、non-enveloped virusであるアデノウイルスを対象に実験を行った。培養により得られた単純ヘルペスウイルス、アデノウイルスをそれぞれ特異抗体と反応させ蛍光顕微鏡で観察した。両ウイルスとも蛍光凝集体を観察することができた。したがって病原性ウイルスを蛍光凝集可視化現象にて迅速に検出できることが確認できた。さらに検出感度の改善のため反応条件を検討し、感度を約10倍向上させることにも成功した。また抗体だけでなくアビジンとビオチンの結合を凝集反応に応用することにより抗体を用いた場合と同様にウイルスの検出が行えることも確認できた。さらに蛍光凝集可視化現象を用いたウイルスの迅速検出法の臨床検査法としての応用を検討するため本学病院臨床研究倫理審査委員会に臨床研究を申請し承認を得ることが出来た。流行性角結膜炎患者の結膜ぬぐい液中のアデノウイルスの検出のため臨床検体の収集のシステムの構築と検体収集を開始することができた。臨床検体を用いた検出実験においても有意な所見が得られつつあり、その検証と検体処理による検出感度の改善のための検討に研究を進めている。
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