2005 Fiscal Year Annual Research Report
幼若期、妊娠期におけるフタル酸エステル類吸入曝露による生殖系への影響の解明
Project/Area Number |
17790362
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
近藤 朋子 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (70374254)
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Keywords | フタル酸 / DEHP / 吸入曝露 / 生殖 / 毒性 |
Research Abstract |
本研究は、DEHPの吸入曝露による生殖への影響、特に生殖器官形成期である思春期前、次世代影響を明らかにする目的で、離乳後の幼若ラットを用いた吸入曝露実験を行った。曝露影響を評価する場合、生殖器の奇形などの肉眼的な変化に焦点を当てた高用量のみの研究では、胎児期、幼若期曝露に関して正確な安全濃度を提示することができない。そこで、ヒトが実際に曝露される可能性があるバックグラウンドレベルに近い低濃度と、高濃度で吸入曝露し検討した。 平成17年度は幼若期吸入曝露による雄性生殖への影響を検討した。離乳後の幼若オスラットにDEHPを4週間または8週間曝露し、精巣でのステロイド合成酵素mRNA、17α-hydroxylaseの発現、血中ホルモン濃度の測定、組織学的検討により雄性生殖器形成、成熟への作用を検討した。 その結果、低濃度曝露でも血漿中テストステロン濃度の上昇、精嚢重量の上昇が認められた。アンドロゲン合成酵素mRNAの発現に関しては、曝露による変化は認められなかった。また、組織学的には、精巣をPAS染色し精子形成過程での影響を検討した。4週間曝露群で曝露濃度により精子形成の進行に違いが認められたが有意な差は無く、8週間曝露群では違いが認められなかった。これらの結果より、これまでの経口投与による影響よりも幼若期に低濃度で吸入曝露を検討することがより鋭敏な影響を明らかにできることが示唆された。 現在、雌性生殖への影響を検討するため、幼若メスラットへの曝露を行っており、膣開口、性周期、血清中ホルモン濃度、ステロイド合成酵素mRNA発現量への影響について検討を行う予定である。
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