2006 Fiscal Year Annual Research Report
飲酒による発癌機序の解明-癌発症を抑制する免疫監視機構に飲酒はどう作用するか?
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17790363
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
松阪 諭 (財)癌研究会, 癌化学療法センター臨床部, 研究員 (00372665)
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Keywords | 飲酒 / 大腸癌 / マクロファージ |
Research Abstract |
癌に対する免疫監視機構の解明は発癌予防につながり,その癌に対する免疫監視機構の中心的役割を担う細胞は、マクロファージと考えられている。 疫学的見地から発癌のリスクファクターにアルコールがあげられるが、その基礎医学的な解明は未知なことが多い。特にアルコールによる発癌メカニズムを癌に対する免疫監視機構からは解明されていない。アルコールが抗癌剤の抗腫瘍効果に及ぼす影響をマクロファージの機能評価により明らかにすることを目的とした。 平成17年度はdaunorubicinの肺胞マクロファージに及ぼす影響を明らかにした。(Saito F, Matsusaka S, et al. J Pharmacol Sci. 2005 99(4):364-72) 平成18年度はtaxolが肺胞マクロファージのNO産生が亢進したことを明らかにした。このNO産生の亢進はp38の活性化を介することを明らかにした。(現在投稿中) 走化性の評価として、Time-lapseバイオイメージングにより、細胞が移動する際の形態を解析し、その運動性の変化を定量的に測定する方法を確立した。(Kurihara R, Tohyama Y, Matsusaka S, et al. J Biol Chem. 2006 281(18):12908-18) この系における肺胞マクロファージの細胞運動を解析したが、運動性はほとんど認めなかった。 さらに、貪食能の評価を蛍光ビーズを用いたFACScanによる解析する方法を確立した。Taxolにより貪食能が亢進する傾向があった。またアルコールがマクロファージの貪食能に及ぼす影響を現在解析中である。現時点ではアルコール暴露早期に貪食能は活性化し、晩期には低下する傾向を示している。さらに抗癌剤投与中のアルコールのマクロファージの及ぼす影響を解析中である。
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