2006 Fiscal Year Annual Research Report
毒性物質の選択的細胞内取り込みを介した標的臓器特異的な毒性発現機構の解明
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17790369
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小松 正治 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (30325815)
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Keywords | OATP1B3 / 臓器特異的毒性 / MAPK / p53 / マイクロシスチンLR |
Research Abstract |
昨年度の研究において、HEK293-OATP1B3細胞を用いて、マイクロシスチンLRの細胞毒性発現機序について解析した結果、細胞膜上のOATP1B3を介して細胞内に選択的に取り込まれたマイクロシスチンLRがその標的分子であるプロテインホスファターゼPP2Aを阻害することにより細胞死が誘発されることが判明した。今年度も引き続き解析を進め、マイクロシスチンLRが誘導する細胞死は、アポトーシスでありネクローシスではないことが分かった。また、ERK、JNK、p38の各種MAPKのリン酸化が検出され、これらのMAPKシグナリングの阻害剤であるU0126、SP600125、SB203580の添加によりマイクロシスチンLRの細胞毒性は抑制された。さらにp53蛋白質のSer15、Ser46、およびSer392の部位でp53蛋白質がリン酸化され、Ser6、Ser9、およびSer20の部位はリン酸化されないことが明らかになり、p53とp21蛋白質の発現量が、添加したマイクロシスチンLRの作用時間の長さに依存して上昇することも明らかになった。従って、マイクロシスチンLRによる細胞死にはMAPKが関与することが明らかになった。また、p53蛋白質のSer15およびSer46のリン酸化によるp53蛋白質の安定化が示唆され、マイクロシスチンLRの細胞毒性の発現との関連が強く示唆された。また、活性酸素消去剤であるNACにより、マイクロシスチンLRが誘導する細胞死が部分的に抑制された。以上の結果から、マイクロシスチンLRの細胞毒性は、OATP1B3によるその細胞内取り込みを引き金にして、主にPP2Aの阻害に起因するが、部分的に活性酸素の産生も関与することが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Copper-transporting P-type ATPase, ATP7A, confers multidrug resistance and its expression is related to resistance to SN-38 in clinical colon cancer.2007
Author(s)
Satsuki Owatari, Satoshi Akune, Masaharu Komatsu, Ryuji Ikeda, Stephan D.Firth, Xiao-Fang Che, Masatatsu Yamamoto, Kazutake Tsujikawa, Masaki Kitazono, Takashi Ishizawa, Toru Takeuchi, Takashi Aikou, Julian F.B.Mercer, Shin-ichi Akiyama, Tatsuhiko Furukawa
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Journal Title