2007 Fiscal Year Annual Research Report
毒性物質の選択的細胞内取り込みを介した標的臓器特異的な毒性発現機構の解明
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17790369
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小松 正治 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30325815)
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Keywords | マイクロシスチンLR / p53 / 化学予防 / ナリンジン / OATP1B3 / 肝毒性 / 食品成分 / 細胞内取り込み |
Research Abstract |
アオコが産生する肝臓毒マイクロシスチンLR(MCLR)の毒性発現ならびに中毒予防策の検討を試みた。MCLRの肝細胞への取り込み責任分子であるOATP1B3を強制発現するHEK293-OATP1B3細胞を用いた解析において、p53のリン酸化並びに安定化が検出され、p53の標的遺伝子産物であるp21およびBaxの発現が亢進していた。また、p53のリン酸化阻害であるpifithrin-αにより細胞毒性が抑制された。一方、細胞内取り込み段階の解析により、MCLRの細胞毒性は、OATP1B3の既知の輸送基質であるBSP、リファンピシン、及びシクロスポリンAにより抑制されることが確認された。MCLRの細胞内への取り込み(Km=1.2μM)もBSP、リファンピシン、及びシクロスポリンAにより抑制された。また、グレープフルーツに含まれるフラボノイドの一種であるナリンジンでMCLRの毒性並びに細胞内取り込みが抑制されることが判明した。以上の結果から、食品成分を用いた毒性シグナリングの阻害ならびに細胞内取り込み段階を標的にした毒性発現の化学予防が可能であることが示唆された。
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