2006 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ・シミュレーションを用いた有害物質曝露の安全評価
Project/Area Number |
17790371
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡邊 光康 北里大学, 医学部, 講師 (50327342)
|
Keywords | 危険度分析 / モンテカルロシミュレーション / 食品摂取頻度・摂取量調査 / 食品摂取量 |
Research Abstract |
本研究では、食品摂取頻度・摂取量調査の一環である小麦摂取量に関するデータを用いて、年齢別の小麦摂取行動の特徴を整理し、それらの小麦摂取量の傾向を明らかとした。また危険度分析を行うために問題となる確率分布の適合性を低下させる要因を明らかとし、これを改善するための方法を考案した。 食品88品目からの小麦摂取量の平均値および標準偏差は、食品ごとに大きなばらつきが認められた。また対数正規分布との適合度も同様に食品ごとに大きなばらつきが認められた。各年齢層の間で小麦摂取量を比較すると、その摂取量が異なっており、年齢層が上がるにつれて小麦の摂取量が有意に低下するのが観察された。この事より小麦摂取量の分布を推定する際には、年齢別に行う必要があると考えられた。しかし年齢別に総小麦総摂取量についての分布の推定を行うと、全ての年齢層において対数正規分布に対する適合度が低いことが明らかとなった。適合度が理由として、実際の小麦摂取量の分布が二峰性を示すためであると考えられた。 年齢別のサンプル集団をそれぞれの平均値の大きさを基準に二分割するで、対数正規分布との適合性が向上した。また全年齢層の平均値を基準にした場合、対数正規分布に対する適合度が若干低下したものもあったが、大きな差は認められなかった。この中で全年齢層の平均値を基準に分割した場合、15-19歳の年齢層の小麦摂取量の実際の分布と対数正規分布との適合度の低さは顕著であった。これに対して15-19歳の食品摂取量の平均値を用いて分割した場合には、対数正規分布に対する適合度が全年齢層の平均値を基準とした場合よりも高かった。これは全年齢層の平均値を用いた場合、年齢層に特有の食品摂取の傾向を反映できていないためと考えられた。以上、小麦曝露量の推定を行う際の推定分布の適合性を向上させるためには、年齢や食行動の特徴を考慮に入れる必要があると考えられた。
|