2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790372
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
工藤 雄一朗 Kitasato University, 医学部, 講師 (60348505)
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Keywords | 石綿代替繊維 / ロックウール / 肺磁界測定法 / 緩和 / クリアランス / 細胞骨格 / 肺障害性 |
Research Abstract |
【目的】石綿代替繊維であるRW (NC社製)の安全性を検討するため、ラットに対して鼻部吸入曝露実験を行い、肺磁界測定法を用いてRWの肺障害性を評価した。【方法】鼻部曝露装置を用いてオスFischer344ラット6匹を目標曝露濃度100fiber/cm^2 (長径>20Μm)で1日6時間、5日連続曝露した。曝露終了1日後に磁界測定の指標として、四三酸化鉄3mgを生理食塩水0.2mlに入れ、ラットに気管内投与した。陰性対照群6匹には四三酸化鉄のみ投与した。麻酔後、肺磁界測定装置を用いて50mTで1秒間外部磁化を行った。磁化後、ラットから発生する残留磁界を40分間計測した。肺磁界測定は、RW曝露群および陰性対照群ともに曝露終了1日後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、12ヵ月後に行った。また、両群とも各測定日の磁化直後の残留磁界値をプロットし、肺内の四三酸化鉄のクリアランスを比較した。対照群、実験群から得られたデータは平均値±標準誤差により示し、解析はt検定を使用した。【結果】肺磁界測定法では、細胞障害性を示す緩和は、両群ともに観察期間で迅速にみられた。磁化後2分間の緩和係数は、両群間に差はみられなかった。四三酸化鉄のクリアランスは、両群とも迅速にみられた。【考察】緩和は、外部磁化により磁性方向が一つにされた細胞内磁性粒子が、時間の経過とともに細胞内の食胞の運動によりランダムに回転するため、細胞内磁性粒子の方向の一致性が失われ、その結果、残留磁界を減少させると考えられている。肺胞マクロファージの繊維の貪食作用により、緩和およびクリアランスが迅速に生じ、緩和係数も両群ともに差はなかったと考えられた。【結論】肺磁界測定法から、RWは肺障害性が少ないことが示唆された。今後は、組成の異なる他社のRWや他の石綿代替繊維で肺磁界測定法を行い、これらの繊維の肺障害性を検討することが必要である。
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Research Products
(5 results)