2005 Fiscal Year Annual Research Report
石綿低濃度暴露時の肺胞マクロファージ活性化におけるカスパーゼとBc1-2の役割
Project/Area Number |
17790375
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
西村 泰光 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90360271)
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Keywords | アスベスト / 肺胞マクロファージ / 肺線維化 / TGF-β / 免疫機能低下 / 中皮腫 |
Research Abstract |
ラット肺胞マクロファージ(AM)をアスベストchrysotile B (CH)暴露下で培養し、TGF-β1産生能,アポトーシス,caspase-3活性について調べた。また、pan-caspase inhibitor, Z-VAD-FMKを用いて、caspaseの関連性についても調べた。AM培養時のアポトーシスは50μg/ml以上の高濃度CH暴露下で増加したが、5-10μg/mlではほとんど起こらないことが分かった。しかし、AM培養5日後(Day5)のTGF-β1産生量は10μg/mlのCH濃度でピークを示し、より高濃度では増加しなかった。また、5-10μg/ml濃度下のAMは、続く3日間(Day5 to 8)も高いTGF-β1産生能を維持し生存した。また、CH暴露下のAMを回収しcaspase-3の活性を調べたが、いずれの暴露濃度においても活性は低かった。また、CHに誘導されるアポトーシスはZ-VAD-FMKで阻害されなかった。以上のことから、高濃度アスベスト暴露はAMに迅速にアポトーシスを誘導し、低濃度暴露はAMに長期に持続する高いTGF-β1産生能を誘導することが分かった。高濃度暴露時のAMアポトーシスにはcaspase-3は強く関与していないと考えられる。また一方で、caspaseは単球のTNF-α産生を支持すると報告されているが、アスベストに誘導されるTGF-β1産生亢進には関与していないと思われる。本年度、高濃度アスベスト暴露が組織障害や細胞死を伴い肺線維化を惹起することに加えて、低濃度アスベスト暴露は高いTGF-β1産生能を持つAM (pro-fibrogenic AM)を誘導し、生体に悪影響を及ぼす可能性を明らかにした。アスベスト長期暴露が肺癌および中皮腫と関連することを鑑みると、pro-fibrogenic AMの高いTGF-β1産生能と免疫機能低下との関連性が想起される。
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