2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん予防を目的とした症例対照研究に基づく環境要因と遺伝子多型の相互作用の検討
Project/Area Number |
17790378
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
岩崎 基 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 予防研究部, 研究員 (60392338)
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Keywords | 乳癌 / 遺伝子 / 環境要因 / 相互作用 / 症例対照研究 |
Research Abstract |
乳がんの発生要因とその予防法を解明するために、症例対照研究の疫学的手法を用いて、その発生にかかわる環境要因ならびに遺伝的要因について乳がんの性質も含め多面的な検討を行っている。 乳がんの症例対照研究は、平成14年度から平成17年度にかけて長野県内4病院で診断された初発乳がん患者を症例、また年齢、居住地区をマッチさせた人間ドック受診予定者を対照として、食物摂取頻度調査票を含む生活習慣に関するアンケート調査と血液検体の収集を行った。平成17年10月に有効症例406例(406ペア)に到達し、症例対照の収集を終了した。症例の平均年齢は53.7歳、閉経後女性の割合は54.3%であった。一方、対照は平均年齢が53.9歳、閉経後女性の割合は64.8%であった。 対象者の末梢血よりDNAを抽出し、エストロゲンの合成・代謝に関連する遺伝子、環境化学物質の代謝に関連する遺伝子、ホルモンレセプター遺伝子などを中心とする40遺伝子61多型についてTaqMan real-time RT-PCR法による多型解析を開始した。また食物摂取頻度調査票を含む自記式質問票から得られた生理・生殖歴、体格、食物・栄養素摂取量などの要因と乳がん罹患リスクの関連を予備的に検討した。マッチドペアに基づく粗オッズ比を求めたところ、出産数、良性乳腺疾患の既往、喫煙、運動などと有意な関連がみられた。食品群や栄養素では、野菜、乳類、カルシウム、カロテン、葉酸、食物繊維(水溶性、不溶性)の摂取が多い群ほど有意にリスクが低く、その一方で魚介類、肉類、果物、ゲニステイン、ダイゼインの摂取とは関連が見られなかった。いずれの結果も現段階では交絡要因の調整がなされていない予備的なものであるが、今後、更に検討を加えるとともに、遺伝子多型情報と合わせて遺伝-環境相互作用の検討を行う予定である。
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