2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模地域一般集団における食塩感受性高血圧、特に低レニン高血圧の遺伝疫学研究
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17790382
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山岸 良匡 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (20375504)
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Keywords | 食塩感受性 / 高血圧 / 血漿レニン活性 / 尿中食塩排泄量 / 遺伝・環境要因 / 生活習慣 / ナトリウム / レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系 |
Research Abstract |
わが国では伝統的に食塩摂取量が欧米諸国に比べ多く、食塩の過剰摂取に起因する高血圧の有病率が高いと考えられている。近年、食塩感受性高血圧や低レニン高血圧に関する遺伝子多型の知見が深まりつつあるが、地域住民において食塩摂取と血圧値との関連を遺伝的側面から検討した成績は少ない。そこで、地域住民を対象に食塩摂取状況のマーカーである尿中Na排泄量の測定、食塩摂取状況の質問紙調査と遺伝子多型の分析を行い、遺伝・環境要因が血圧値に及ぼす影響を検討した。対象は茨城県K町の基本健康診査の受診者で、遺伝子多型の分析に同意した2,823名である。食塩感受性高血圧の候補遺伝子であるアンギオテンシノーゲン(AGT)T174M、αアデュシン(ADD1)G460W、アンギオテンシン変換酵素(ACE)I/D、G蛋白質β3サブユニット(GNB3)C825T、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)T-344C遺伝子多型について分析した。いずれの多型も全体として血圧値との有意な関連は認められなかったが、食塩摂取量別に分析した場合、AGTのTM+MM群(若年非過体重者)、ADD1のWW群(男性)、ACEのII群については高食塩摂取群において多型と血圧値との関連が認められた。またCYP11B2のTT群では、65歳以上の男性において多型と血圧値の関連が認められ、この関連は高食塩摂取群でより顕著であった。一方GNB3遺伝子多型では、TT群で低食塩摂取群のみ収縮期血圧値との関連が認められ、高食塩曝露下では血圧値との関連がマスクされる可能性が示された。先行研究において、これらの各多型と血圧値との関連は人種により一定しておらず、本研究はその一因が、食塩摂取量の違いにより説明できることを示している可能性がある。次年度はこれらの多型と低レニン高血圧との関連についての研究を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)