2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790402
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
左近 直美 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 研究員 (50291216)
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Keywords | ロタウイルス / 中枢神経症状 / 抗原血症 |
Research Abstract |
今シーズンまでに採取された胃腸炎症状に引続き中枢神経症状を併発した症例18例から採取した便(18)、血清(16)、髄液(10)を材料とした。便中ロタウイルス抗原陽性であったのは13例で、VP7遺伝子によるG typingの結果はG1が1、G3が5、G9が1例であった。非重症例ではG9からG3への流行株の推移が見られ、重症例においてもロタウイルスの流行株が反映されていることが示唆された。VP7遺伝子の塩基置換は同義置換であり、血清型における重症例と非重症例における差は認められなかった。13検体について血清中RV抗原の検査を市販品(ロタクロン:TFB)ELISA法にて行い、そのうち5例で陽性となった。ELISAにはA群特異的抗原であるVP6に対するモノクローナル抗体が使用されているため、陽性血清中のVP6コード遺伝子の増幅を試みたが全例陰性となった。遺伝子が検出されず、抗原のみが検出されていることは、ウイルスとしてどのような状態にあるのか非常に疑問である。一方、VP6蛋白がロタウイルス粒子中の他の構造蛋白より量的に多く含まれており検出系に有利であることを示していると考えられた。ロタウイルスは3層構造から成るため、粒子の最表層にあるVP4あるいはVP7と内層蛋白の両蛋白について血清中における存在を明らかにしたい。 谷口ら(藤田保健衛生大学・寄生虫ウイルス学教室)の開発したVP6に対するモノクローナル抗体YO-156を用いたELISA法にて、谷口らの協力を得て上記血清検体を再試したところ、さらに4検体が陽性となった。感度のすぐれたこの方法を使用し、今シーズンに採取された非重症化例についても抗原の存在について検討したい。
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