2005 Fiscal Year Annual Research Report
生薬の残留農薬による汚染の実態調査及び一斉分析法の開発に関する研究
Project/Area Number |
17790403
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
田上 貴臣 大阪府立公衆衛生研究所, 食品医薬品部, 研究員 (00321943)
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Keywords | 薬学 / 分析化学 |
Research Abstract |
【目的】近年、諸外国から輸入される農産物から多くの農薬が検出されており、その大部分が輸入品である生薬についても、農薬による汚染が強く懸念される。そこで、繁用される生薬について、実際に使用され、残留している農薬を把握するために実態調査を行った。【方法】調査対象生薬は、栽培品であり輸入量の多い生薬17品目49試料を選択した。測定対象農薬は、生薬への残留が疑われる有機リン系農薬11種類、有機塩素系農薬11種類、ピレスロイド系農薬10種類を選択した。有機リン系農薬及び有機塩素系農薬は、既報の分析法によりガスクロマトグラフ質量分析計、電子捕獲検出器付ガスクロマトグラフ、炎光光度検出器付ガスクロマトグラフを用いて分析を行った。ピレスロイド系農薬については、ガスクロマトグラフ質量分析計による分析法を開発し、分析を行った。【結果】調査対象生薬とした49試料のうち31試料から農薬が検出された。また、測定対象とした32種類の農薬のうち17種類の農薬が検出された。その中でもクロルピリホス、メチダチオン及びフェンバレレートは、多くの生薬から検出され、かつ高濃度の残留が認められた。また、従来から多くの生薬で検出されてきたBHC、DDTは、今回の調査ではまったく検出されなかった。【まとめ】調査を実施した生薬のうち過半数の試料から農薬が検出され、多くの生薬に農薬が残留していることが明らかとなった。現在、日本薬局方では、一部の生薬に対してBHC、DDTの残留基準が定められている。今回の結果から、生薬について実際に用いられている農薬が、BHCやDDTなどから残留基準の定められていない農薬へと移行していることが示唆された。
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