2005 Fiscal Year Annual Research Report
青少年のシンナー吸引における摂食・成長障害の発生メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
17790408
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後藤田 貴子 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50304506)
|
Keywords | 法医学 / トルエン / 摂食障害 / ストレス / レプチン / 視床下部 / 免疫組織化学 / ELISA |
Research Abstract |
トルエン吸入と摂食障害との関連を明らかにすることを目的として、本研究期間においては、ニューロペプタイドY(NPY)、レプチン(Leptin)、レプチンレセプター(Ob-R)、プロオピオメラノコルチン(POMC)などの摂食調節に関連する因子を中心に、これらの因子のラット視床下部における局在およびその発現に対するトルエン吸入の影響について免疫組織化学的に検討した。その結果、室傍核においてNPY、Leptin,Ob-R、POMCの発現が認められ、トルエン(1,500ppm)を1日当たり4時間の吸入を7日間続けることによってLeptinおよびPOMCの染色性が減弱することを見出した。それに対し、NPYおよびOb-Rの染色性に対するトルエン吸入の影響は全く認められなかった。他方、ELISA法によるLeptin定量の結果、トルエン吸入により血液中のLeptin濃度が有意に減少することが明らかとなった。一般に、Leptinは脂肪細胞で産生され、血流を介して脳内に到達し、視床下部において摂食機構に対して抑制的な作用を示すと考えられている。従って、本研究で認められた室傍核Leptin染色性の低下および血中Leptin濃度の減少は,トルエン吸入による食欲の減退、その結果としての異常な体重の減少にLeptinが関連している可能性が考えられた。他方、これまでの研究では、トルエン吸入により血中コルチコステロンおよびACTHが増加することを見出し、過度のストレスによる心理的な要因よって食欲不振を来たす可能性を示した。従って、本研究において認められたトルエン吸入によるLeptinの減少は、ストレスによる食欲不振に基づく二次的な影響であろうと考えられるが、その詳細な機序については、Leptin遺伝子の発現に対する影響も含めた更なる検討が必要であると思われる。
|