2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経由来過分極因子(NDHF)を介する血管弛緩反応に対するエタノールの影響
Project/Area Number |
17790412
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
工藤 利彩 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20347545)
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Keywords | NDHF / エタノール / ラット / 血管弛緩反応 / sensory nerve |
Research Abstract |
ラット肝動脈および上腸間膜動脈の輪状標本モデルを作成し、フェニレフリン収縮下において、NDHF候補因子の1つであるアナンダミドのdose-response relaxation curveを作製し、アナンダミドによる血管弛緩反応に対するエタノールの影響を検討した。 肝動脈では、対照群でアナンダミド濃度が-9、-8、-7、-6、-5(logM)と高くなるにつれて、弛緩率は6.7、17.6、32.4、44.1、92.7(%)と増大した。これに対し、50mM EtOH処置後の血管の弛緩率は2.4、5.6、10.4、20.1、58.2(%)であり、100mM EtOH処置後の血管の弛緩率は1.6、8.8、13.2、25.8、76.2(%)を示し、特にアナンダミド濃度が-7、-6、-5(logM)において、対照群に比べて弛緩反応が有意に抑制された。 上腸間膜動脈では、対照群でアナンダミド濃度が-9、-8、-7、-6、-5(logM)と高くなるにつれて、弛緩率は7.1、12.3、15.0、22.7、68.4(%)と増大した。これに対し、50mM EtOH処置後の血管の弛緩率は0.4、2.1、5.0、10.6、56.6(%)であり、100mM EtOH処置後の血管の弛緩率は0、1.2、1.9、3.7、49.2(%)を示し、特にアナンダミド濃度が-6、-5(logM)において、対照群に比べて弛緩反応が有意に抑制された。 さらに、ラット大動脈輪状標本モデルにおける細胞内カルシウムイオン濃度の測定を行った。高濃度KCl添加による収縮時、吸光度は340nmにおいて上昇し、380nmで下降し、340/380nmの値の増加が見られたことから、細胞内カルシウムイオン濃度が増加していることが明らかになった。フェニレフリン収縮下のアナンダミドによる弛緩反応時の細胞内カルシウムイオン濃度変化については現在検討中であり、来年度も引き続き行う予定である。
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