2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺血栓塞栓症による院内突然死の予防に対する法医病理学的アプローチ
Project/Area Number |
17790413
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
呂 彩子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50296555)
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Keywords | 肺血栓塞栓症 / 深部静脈血栓症 / 法医病理学 / 院内突然死 / 行政解剖 |
Research Abstract |
1 肺血栓塞栓症(PTE)による突然死の疫学的調査として東京都監察医務院の事例検討を行った.過去10年間の行政解剖における年次別PTE件数を10年前と比較すると,行政解剖数は1995年から2004年で約1.1倍であったが,PTE件数は25件から53件と2.8倍になっており,PTEの増加率が顕著であった. 2 1999〜2001年までの東京都監察医務院におけるPTEによる死亡86例につき背景因子を検討した.院外発症83例(93%),精神疾患28例(32%),肥満(BMI25以上)23例(26%),高齢(75以上)9例(9%),悪性腫瘍8例(9%),高脂血症5例(6%),下肢外傷4例(5%),妊娠2例(2%)であった. 3 慶應義塾大学医学部法医学教室および東京都監察医務院の院内発症PTE15剖検例につき検討した.入院期間は平均15日.(1)背景因子:表在静脈瘤1例,高齢3例,肥満5例,精神疾患8例.(2)増強因子:外傷8例,手術8例,血管造影1例,身体拘束3例,麻酔による鎮静1例.(3)入院後の経過:予防策施行1例.前駆症状あり4例.生前診断4例.(4)剖検所見:PTE:一回型8例,acute on chronic型7例であった. 4 結果から次の3点が確認された.(1)PTEは法医解剖においても増加している.(2)PTEの行政解剖例の背景因子として院外発症・精神疾患の既往が特徴的である.(3)院内発症例では多くが何らかの背景因子または増強因子を有していた. 以上の結果をふまえ,次年度は詳細な病理形態学的検討をすすめ,患者背景と病理組織像を対比させ,PTEによる突然死の更なる病態把握を行う予定である.
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