2006 Fiscal Year Annual Research Report
Super-p53を用いた新しいがん遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
17790432
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角道 祐一 東北大学, 病院, 医員 (10396484)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / super p53 / アポトーシス |
Research Abstract |
【結果1】p53欠失ヒト腫瘍細胞株であるSaos-2を用いてスクリーニングし、新たに見つかった強力なアポトーシス誘導能をもつ変異型p53、すなわちSuper-p53をアデノウイルスに組み込んだ。これにより培養細胞およびマウス移植腫瘍に対する簡便かつ高率な遺伝子導入実験を可能にした。これらを用いて、種々の培養細胞株における細胞増殖抑制効果を調べ、癌種・p53ステータスに対応させた細胞増殖抑制効果についてパネルを作成した。この過程で、Saos-2のみでなく、その他の癌細胞株(U20S、SF126、DLD-1、HCTl16など;data not shown)においても、Super p53のアポトーシス誘導のタイミングが変異体によって若干異なることが判明した。すなわち、コドン121の変異体群はアポトーシス誘導が惹起されるタイミングが、その他の変異体と比べて有意に早いことが確認された。 【結果2】細胞増殖抑制効果パネルにもとづいて、複数のがん細胞に対し、またp53のステータスにindependentに細胞増殖抑制効果を示した変異体S121Y、S121C、S121F、E221Q、R290G、K291Eについての抗腫瘍効果をin vivo(ヌードマウス皮下移植腫瘍モデル、癌性腹膜炎モデル)で検討した。 【結果3】その結果、皮下移植腫瘍モデルにおいては、変異体S121Y、S121C、S121F、E221Q、R290G、E291Eは野生型p53よりも有意に強い抗腫瘍効果を認めた。しかし、癌性腹膜炎モデルにおいては、いずれの変異体も野生型p53と比較し、生存期間の有意な延長は認めず、抗腫瘍効果の増強は確認できなかった。逆に、変異体S121Y、S121C、S121Fは野生型p53に比べ、著明な体重減少と生存期間の短縮を認めた。 【結論】以上の結果から、われわれが同定したSuper-p53のうち、局所治療に関しては野生型p53を上回る抗腫瘍効果をもつ変異体を複数認めたが、腹腔内投与などの全身性投与に明らかな有用性を示す変異体は認められなかった。
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