2005 Fiscal Year Annual Research Report
各種消化器癌のエピジェネティックな遺伝子発現動態の網羅的な比較検討
Project/Area Number |
17790434
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
新井 誠人 千葉大学, 大学院・医学研究院, COEフェロー (30396684)
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Keywords | エピジェネティクス / 脱メチル化剤 / 食道癌 / 胃癌 / 肝細胞癌 / 大腸癌 / マイクロアレイ / 遺伝子発現解析 |
Research Abstract |
エピジェネティクスは真核生物のゲノムに記された遺伝情報の発現を制御する仕組みであり、様々な生命現象と関係しており、ポストゲノムシークエンス時代の重要な研究テーマとして認識されている。DNAメチル化の異常が、エピジェネティクな遺伝子制御に重要な役割を果たすことが報告され、癌発生メカニズムに非常に重要であることがわかってきた。 各種消化器癌由来の培養細胞に対して、脱メチル化剤を投与し、経時的な変化を捉えること、またその影響を比較検討することによって、脱メチル化剤の抗腫瘍効果のメカニズムを明らかにすることを目標とした。 肝癌由来の培養細胞6種類に対して、脱メチル化剤、5-aza-2'-deoxycytidine(以下5-AzaC、1μM)にて処理を行い、24時間ごとにRNAを抽出した。さらに、消化器癌由来培養細胞(13種類、食道癌3種、胃癌5種、肝細胞癌3種、大腸癌2種)に脱メチル化剤処理し、96時間後にRNAを回収した。マイクロアレイにて解析を行った。 クラスタリング解析によって、経時的に発現上昇を認める遺伝子群を同定し、その機能分類を行い、その特徴を明らかにし、報告した(研究発表、雑誌論文 新井誠人)。MTSアッセイにて、脱メチル化剤の感受性を評価し、高感受性群、低感受性群、中間群に分類し、これら感受性と関連する遺伝子群を同定した。さらに、由来臓器間での反応性の差異を検討したところ、食道癌、胃癌、肝細胞癌、大腸癌で特異的に発現が上昇し、かつ平均発現比で1.5倍以上の上昇が認めた遺伝子数は、それぞれ8、37、8、64個であった。 以上の解析結果より、脱メチル化剤の各種消化器癌に対する影響、効果の全体像を捕らえることが可能となり、消化器癌間での差異を明らかにした。
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Research Products
(2 results)