2005 Fiscal Year Annual Research Report
Dkk4による大腸癌Wntシグナルの分子制御機構の解明
Project/Area Number |
17790447
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山口 達也 山梨大学, 医学部附属病院, シニアレジデント (30397301)
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Keywords | 大腸癌 / dkk / Wnt / beta-catenin |
Research Abstract |
本研究の目的はDkk4のWntシグナル伝達経路への関与を解析し、大腸癌発癌過程におけるDkk4の役割を明らかにすることにある。DkkにはDkk1からDkk4まで4種類のホモログが存在するが、各々の機能の違いは明確になっていない。Dkk1と同様にDkk4もWntシグナル伝達を制御すると考えられているが、我々が大腸癌でDkk4が高発現することを発見したことは、Dkk4がWntシグナル伝達経路および大腸癌の発生進展に対して促進的に作用する可能性を示している。したがってDkk4のWntシグナル伝達での役割を解析し、大腸癌発癌におけるDkk4の役割を明らかにすることは大腸癌発生過程の理解とその診断治療法の開発において重要であると考えられる。H17年度は大腸癌細胞株を用いてDkkの発現量を調べる一方、実際の大腸癌の生検検体を用いて、RT-PCRを行いDkk4の発現を調べた。今後、正常粘膜、早期癌、進行癌、転移巣におけるDkk4の発現の変化について検討し発癌・癌の進行にDkk4がどのように関与しているか調べDkkを標的とした診断、治療方針、予後の判断に応用できるか検討する。また、Dkk1からDkk4について、これらを正常細胞株、大腸癌細胞株に導入し、細胞増殖アッセイ、フローサイトメトリーを用い、Dkkの細胞増殖能、細胞周期へ関与を調べるための、発現ベクターの構築を行った。また、Dkk1からDkk4についてそれぞれの発現を効率的に抑制するsiRNAを作成、大腸癌細胞株に導入し、細胞増殖アッセイ、フローサイトメトリーを用い、Dkkの細胞増殖能、細胞周期へ関与を検討中である。レポーターアッセイ、βカテニンの標的であるTCFプロモータを用いたレポーターアッセイにより、DkkのWntシグナル伝達系への影響を検討している。今後、Dkkの遺伝子過剰発現系、抑制系でのWntシグナル伝達系での遺伝子・蛋白発現量の変化を調べることによりDkk4がWntシグナル伝達系に対して抑制性に働くのか、促進性に働くのか検討する予定である。
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