2005 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的解析によるHGFによる抗アポトーシス作用の分子機構の解明
Project/Area Number |
17790451
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森内 昭博 京都大学, 医学研究科, 助手 (40359823)
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Keywords | HGF / アポトーシス / 網羅的解析 |
Research Abstract |
HGFは成熟肝細胞の増殖を促進させる因子として発見されたが、in vivoで種々の肝障害肝モデルにおいて肝障害の抑制、肝再生の促進および繊維化の抑制・改善などの多彩な生理作用を示すことが確認されている。HGFによる肝再生医療の対象疾患である劇症肝炎は、その成因が多彩であり約50%をウイルス感染によるものが占める一方で、自己免疫性や薬物性がそれぞれ数%、成因不明も30%以上含まれる。その急激かつ広範な肝細胞障害と肝再生不全の引き金として、肝細胞のアポトーシスが関連していると考えられており、マウスのJo-2誘導急性肝不全モデルは人の劇症肝炎の病態を良く再現しているとされている。このモデルに対するHGFの効果は顕著であるが、その分子機構を詳細に解析した報告はない。本研究の目的は、二次元電気泳動やDNAマイクロアレイによる網羅的解析を用いて、HGFの抗アポトーシス作用の責任分子を同定し、HGFの抗アポトーシス作用の分子機構を障害肝およびHGFによる治療肝のin vivoモデルを用いて明らかにすることである。 agonisticな抗Fas抗体(Jo-2)によって誘導される急性肝不全マウスを作製し、このマウスにHGFを投与し非投与群との肝組織におけるmRNAの発現を網羅的に比較検討するために、 cDNAマイクロアレイを行なった。対照群として無治療群の他にEGF投与群を追加して解析したところ、HGF特異的に発現が誘導される遺伝子として、bcl-x,遺伝子Xなどを同定した。さらに、リアルタイムPCR法を用いて、bc1-x,遺伝子Xの発現がHGFで増強されることを確認した。HGFの抗アポトーシス作用におけるbc1-xの重要性は既に報告されているが、遺伝子Xは近年同定された遺伝子で、その機能解析はほとんど進んでいない。HGFの抗アポトーシス効果における責任分子の一つであれば新規の報告であり解析を進めている。また、二次元電気泳動による発現タンパクの網羅的解析は、発現レベルを数値化し客観化する目的で蛍光標識法を用いて解析中である。
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