2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラット膵腺房細胞増殖期における膵幹細胞の分離・同定および再生医療への基礎的検討
Project/Area Number |
17790461
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
保田 宏明 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (40363973)
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Keywords | 再生 / 膵幹細胞 / ラットアルギニン膵炎 / PDX-1 |
Research Abstract |
【目的】これまで我々は、ラット急性膵炎後再生過程での腺房細胞の再生について報告してきた。この再生過程では、腺房細胞の増殖とアポトーシスのよる膵の再構築が観察されているが、増殖する腺房細胞の由来は未だ確認できていない。そこで今回我々は膵の分化増殖能を持つ細胞マーカーの候補としてPDX-1,c-Met, Nestinの発現を免疫組織学的に検討する。 【方法】Wister系雄性ラット8週齢(体重約190g)にアルギニン-塩酸塩(Arg)(450mg/kg body weight)を単回腹腔内投与し、壊死性膵炎を惹起させた。コントロール群には同量の生理食塩水を腹腔内投与した。屠殺1時間前にBrdU20mg/kg body weightを静脈内投与し、Arg投与3日後に屠殺した。膵を摘出し、固定後パラフィン切片を作成、c-Met, PDX-1,Nestinの発現を免疫組織学的に検討した。また、BrdU, PCNA陽性細胞との関係についても検討した。さらに、PDX-1と膵管細胞のマーカーCK19の2重染色を行った。 【結果】Arg投与3日後にはほとんどの腺房細胞が脱落又は変性、一方膵管細胞はduct-like tubular complexの組織像を呈した。これらの膵管には、BrdUおよびPCNA陽性細胞が散在していた。PDX-1は増殖した膵管細胞に強く発現が見られ、その膵管を取り巻くようにNestinの発現を認めた。c-Metの発現は、有意な変化を認めなった。PDX-1陽性細胞はCK19も発現していた。 【考察】膵炎後再生過程では、膵管細胞は増殖しduct-like tubular complexを呈し、その後腺房細胞の増殖が見られる。これらの結果より、duct-like tubular complexに腺房細胞への分化能を持つ前駆細胞が存在し、PDX-1はその前駆細胞のマーカーとして有用であると考えられた。
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Research Products
(1 results)