2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮前駆細胞を用いた肝線維症に対する新しい細胞療法の開発
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17790471
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助手 (30341332)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞(EPC) / 細胞療法 / 肝線維化 / 肝再生 / CD133 / Thy-1(CD90) / CD31 |
Research Abstract |
SD系雄ラット腹腔内にジメチルニトロソアミン(DMN)を週3回4週間投与して肝線維症モデルラットを作製した。また、正常SD系雄ラットの骨髄より得られた血管内皮前駆細胞(EPC)をDMN投与初日より週1回尾静脈より3×10^6個移植し、対照群と比較した。対照群にはEPCの代わりに生食水を投与した。 EPCの移植後28日目に屠殺し、肝組織、血清を採取し、解析を行なった。肝内でのEPCの局在を蛍光顕微鏡を用いて検討したところ、線維が沈着した部位に存在した。Azan-Malloly染色、コラーゲンタイプ1、フィプロネクチン染色にて肝線維化の改善を評価したところ、いずれもEPC移植により線維化の程度の改善を認め、alpha-SMAやTGF-betaの染色性も低下していた。リアルタイムPCR法を用いてコラーゲンタイプ1、タイプIII、タイプIV、フィプロネクチンの発現量を定量評価したところ、いずれもがEPC移植により低下していた。さらに、血清学的検討では、AST、ALT、総ビリルビン値はEPC移植により有意に低下し、総蛋白、アルブミン値は有意に上昇した。血清学的な線維化マーカーのIV型コラーゲン値も有意に低下していた。両群における生存曲線も比較検討したが、有意差は認めなかった。こうした線維化の改善状況から、肝再生促進作用が予想されたため、Ki-67染色を行ったところ、EPC移植群ではKi-67染色陽性肝細胞を多数認め、対照群の7%に対して、EPC移植群では14%と2倍増加していた。EPC自らが肝再生因子のひとつであるHGF、 TGF-alpha、 EGF、 VEGFを発現していることを昨年確認していることより、EPC移植肝においては、これらの肝再生因子の発現が有意に亢進しているものと考えられたため、実際リアルタイムPCR法を用いてHGF、 TGF-alpha、 EGF、 VEGFの発現量を測定してみた。すると、測定した全ての因子(HGF、 TGF-alpha、 EGF、 VEGF)において、発現は亢進していた。
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Research Products
(1 results)