2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクターピロリ除菌後発生胃がんのスナネズミモデルでの経時的検討
Project/Area Number |
17790475
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
溝下 勤 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍病理学部, 研究員 (40347414)
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Keywords | 胃がん / スナネズミ / Helicobacter pylori / 形質発現 / 胃型 / 胃腸混合型 / 腸型 / 前がん病変 |
Research Abstract |
Helicobacter pylori(Hp)感染スナネズミモデルは、ヒト胃病変検索の良いモデルである。一方、胃がんの組織発生を考える上で胃型・腸型の形質発現の検索は重要である。今回我々は、スナネズミ腺胃がんの形質発現を周辺非がん部粘膜も含めて解析した。 N-methyl-N-nitrosourea(MNU)+Hp感染群のスナネズミ胃がん50例と、MNU単独投与群の胃がん6例に対して、HE染色と胃型(HGM、ConA)あるいは腸型(I-ALP、SIMA、CD10)マーカーの免疫染色を施行した。各マーカーの発現により、胃がんを胃型(G)、胃腸混合型(GI)、腸型(I)、ヌル型(N)に分類した。周辺粘膜の非がん腺管も、同様にG type、GI type、I typeに分類した。 1.胃がんの形質発現 MNU+Hp感染群の胃がん50例(分化型44例、未分化型6例)は、G21例、GI24例、I4例、N1例に分類された。一方、Hp非感染MNU投与群の胃がん6例(分化型5例,未分化型1例)は全てGであった。 2.胃がんとその周辺粘膜の形質発現の関係 MNU+Hp感染群の直径10mm以内の分化型胃がん13例中(G9例、GI2例、I2例)、7例の胃型胃がんは、G typeの非がん腺管のみの周辺粘膜を有した。しかし、その他6例の胃がんでは、がんとその周辺粘膜の形質発現に明らかな相関関係が認められなかった。一方、MNU単独投与群の胃がん6例の周辺粘膜は、すべてG typeの非がん腺管から成っていた。 以上より、スナネズミ腺胃がんの多くは、胃型の形質発現を有していた。前がん病変としてG typeの非がん腺管の検索も重要であると考えられた。Hp感染が、胃がんと非がん組織の腸型化を引き起こしている可能性が考えられた。
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