2006 Fiscal Year Annual Research Report
正常心筋及び心不全心筋における不均一収縮の病態生理の解明〜カルシウム波との関連〜
Project/Area Number |
17790481
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
若山 裕司 東北大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10375082)
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Keywords | 心筋 / 不均一収縮 / 細胞内カルシウム / カルシウム波 / 心不全 / クロスブリッジ / サルコメア / 刺激頻度-張力関係 |
Research Abstract |
ラット右心室から取り出した多細胞心筋標本(トラベクラ)を用い、局所灌流法を用いた不均一収縮モデルを作成し、張力・細胞内カルシウム濃度・サルコメア長を測定し、以下の実験成果を得た。 1.トラベクラにButanedione Monoxime(BDM)含有液を局所還流した不均一収縮の実験系を用い、局所還流の有無での刺激頻度を0.2/0.5/1/2Hzに変えたときの張力変化を細胞外カルシウムが1及び2mMの条件下で測定した(n=6)。細胞外カルシウムが1mMの時には局所還流の有無にかかわらず陽性の刺激頻度-張力関係を示した。細胞外カルシウムが2mMの時には、局所還流無しで陰性の刺激頻度-張力関係を示したが、局所還流ありでは刺激頻度にかかわらず張力変化を認めなかった。カルシウム過負荷状態及び不均一収縮が存在する非生理的状態では、不均一収縮の存在が刺激頻度-張力関係を障害すると考えられた。 2.同様にBDM添加局所灌流液を用いた不均一収縮モデルのトラベクラ(n=15)において、7.5秒間の2.5Hzペーシングでカルシウム波を誘発した。最終ベーシング後にサルコメア長2.1から2.2μmまで伸展する伸展パルス(210ms)を加え,張力変化と細胞内カルシウム濃度及びカルシウム波の伝播速度を検討した。伸展パルスに伴う張力変化とカルシウム波伝播速度の変化は有意な正相関を認めた(n=12)。細胞外液に1mMカフェインを加えるとカルシウム波が消失するが、カルシウム波発生部位の局所還流部境界域で収縮弛緩期に一致して局所細胞内カルシウムの上昇を認めた。伸展パルスを加えた時の境界域の局所カルシウム濃度変化は、先行する収縮張力の変化と正の相関を示した。境界領域の局所カルシウム変化がカルシウム波発生直前の発生張力と密接な関係が示され、クロスブリッジに伴うカルシウムの結合と解離の関与が示唆された。
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