2005 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再潅流障害におけるTLR-4の短期的及び長期的役割について
Project/Area Number |
17790492
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾山 純一 九州大学, 大学病院, 助手 (30359939)
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Keywords | 初期免疫 / Toll-like receptor(TLR)4 / 虚血 / 再灌流障害 |
Research Abstract |
心筋虚血におけるToll-like receptor(TLR)-4の役割 心筋梗塞及び心不全の心筋に於いてLPSの受容体であるTLR-4が過剰に発現している事が報告され、さらに筆者らは以前、TLR-4自然欠損マウスに於いて心筋虚血再潅流障害が減弱する事を報告した。事実、壊死心筋の領域は減少し炎症細胞の浸潤も抑制された。しかし、その長期予後及び心室リモデリングについての知見は無い。その為、現在12週齢のTLR-4ノックアウトマウス及び対照マウスを用い、冠動脈結紮による実験的心筋梗塞モデルを作成し、長期間に渡り左心室の形態の変化を心臓超音波検査法にて検討しそれによる長期予後を検討している。現在までに、対照マウスでは、心筋梗塞前LVEF68.8+/-10.8%であったが、心筋梗塞1日目51.51+/-8.5%、2日目47.8+/-10.1%(n=6)と低下したのに対しTLR-4欠損マウスでは、心筋梗塞前LVEF66.1+/-13.2%であったが、心筋梗塞1日目56.3+/-11.5%、2日目55.2+/-14.2%(n=3)と心機能低下が抑制されていた(TLR-4欠損マウスでは感染を生じたり繁殖が一時上手く行かなかった時期があった為、十分な実験数をこなす事が出来ていない)。今後nを増やしさらに長期間経過を観察し、梗塞サイズの減少と左室リモデリングへの影響及び、その原因としての炎症性サイトカインの発現及びMMPの産生について検討する。 さらに、LPSを前投与しておくとその後心筋梗塞になった場合の梗塞サイズが減少する現象〔薬理学的preconditioning)に付いても検討を加えているが、LPS投与により投与後2時間で一過性にTLR-4mRNAは増加するが、その後減少し投与後12時間では投与前より発現は抑制される傾向に在る事が明らかになった(n=3)。この事は、TLR4以下のsignalingが減弱することで心筋梗塞サイズが減少する可能性が示唆され、今後は以下のsignalingについて検討を加えていく予定である。
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