2005 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全患者血中由来物質による培養心筋細胞アポトーシス誘発性に関する研究
Project/Area Number |
17790504
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊達 太郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50277050)
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Keywords | アポトーシス / 心不全 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
【目的】近年心不全心においてアポトーシスによる細胞死が生じていることが報告されているが、心不全患者の血清内に含まれる種々の因子により直接的に心筋細胞がアポトーシス死に陥る可能性について、初年度の検討を行った。つまり、心不全患者においては患者自身の血清自体が心筋細胞に対してproapoptoticに作用する、との仮説を立て、培養心筋細胞を用いた実験を計画した。 【方法】本学倫理委員会に本研究施行に関する研究申請し承認を得て、患者本人が承諾の上実施した。まず、新生児ラット心筋細胞を単離した後、血清フリーの培養液で培養する。その後健常者または慢性心不全の患者より採取した血清、またはFetal bovine serumを含む培養液で培養を行い、Cell viability、Apoptosisの検出、Caspase3活性の測定を行いApoptosis誘発性の評価を行った。 【結果】ヒト血清を含む培養液で培養を行ったところ、時間経過により一定のアポトーシスが生じることが解った。また、アポトーシスが生じる血清の濃度には閾値が存在し低濃度の血清添加時に有意なアポトーシスが誘発されることが解った。Caspase3やMTS assayを用いた同様の評価でも同一の傾向が認められた。 【考察】心不全心での心筋細胞アポトーシス死について多くの報告があるが、血清中の因子がその現象に関与しているとの発想による報告は認めらない。本実験では、ヒト血清含有培養液で培養した心筋細胞ではアポトーシスが生じうることが示された。その効果はdeath receptorを介した系とmitochondrial pathwayを介するものと両者の影響による。これらの結果はアポトーシス抑制することで心不全を治療する重要な概念につながる可能性を有する。
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Research Products
(2 results)