2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790507
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
嶋田 寿文 久留米大学, 医学部, 助手 (30399745)
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Keywords | 老化 / 再生医学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
老化と動脈硬化等に関する研究は数多くあるが血管新生、血管発生に関する報告は希少である。 近年、ヒト老化と酷似した経過を辿るモデルマウスが開発された。我々はこの老化と血管新生の関連について老化マウスモデルであるKlothoマウスを用いて虚血組織における血管新生への影響について、分子生物学レベルから研究し現在まで以下のような研究成果が得られた。 (1)klothoマウスのhomo(-/-), hetero(+/-), wild(+/+)の三群に分け、それぞれ左大腿動静脈の全てを摘出し下肢虚血モデルを作成した。その後経時的にレーザードップラー血流計を用いて虚血手術前、後、第3、7、14、21、28病日に軽麻酔下にレーザードップラー法を行い、両下肢の血流を定量評価した。その結果、wild(+/+)群と比較してhomo(-/-)群、hetero(+/-)群では有意に虚血下肢血流回復の程度が低下していた。 (2)28病日に軽麻酔下に下肢虚血組織を摘出し、アルカリフォスファターゼ染色で毛細血管密度(capillary density)を測定した。その結果レーザードップラー血流計と同様、毛細血管密度はwild(+/+)群と比較してhomo(-/-)群、hetero(+/-)群では有意に毛細血管密度が低下していた。 (3)血管新生において血管内皮機能は重要な役割を果たす。また加齢によりこの血管内皮機能は低下し、しいては組織中NOの低下、VEGF発現の抑制をきたしたという報告がある。このKlothoマウスの下肢虚血モデルに於いては尿中NOxおよび内皮機能に重要な因子である組織中cGMPを測定した。その結果、wild(+/+)群と比較してhomo(-/-)群では有意に尿中NOx,組織中cGMP値が低下していた。 以上の結果から老化マウスモデル:Klothoマウスでは虚血組織での血管新生能が低下していることが示唆され、それは加齢に伴う血管内皮機能の低下が要因であると考えられた。今後は血管新生において重要な役割を果たす血管内皮前駆細胞(EPC)についてこのKlothoマウスでの骨髄、末梢血レベルから更なる詳細な検討を行う予定である。
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