2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790508
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
鬼塚 一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (10289431)
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Keywords | 急性冠症候群 / 再灌流障害 / エラスポール / 好中球エラスターゼ阻害薬 / 循環器・高血圧 / 生理活性 |
Research Abstract |
当施設において急性冠症候群で冠動脈インターベンションの適応となった症例131例の内、再潅流障害(no re-flowもしくはslow flow)を発症した症例7例を無作為に二群にわけ、一方をエラスポール使用群、もう一方を非使用群とした。それぞれにおいて血管造影上の血管速度の改善度、および心電図上のST上昇の改善度、インターベンション後の心筋逸脱酵素の変動を観察した。また急性期(術後二週間以内)、慢性期予後(術後6ヶ月以内)における合併症の発現頻度を観察した。また定量的冠動脈造影による最小血管径、対照血管径の測定および心エコーによる左室収縮力の改善率を急性期(術後一週間から二週間)および慢性期(術後6ヶ月)に行なった。 結果、エラスポール使用群4/7例中2例については血管造影上血管速度の改善を認めた。ST上昇に変化はなかった。他2例では造影上もST変化も改善無く、これはエラスポール非使用群3/7例と同様であった。インターベンション後の心筋逸脱酵素の上昇については今のところエラスポール使用例中一例のみが急性期、著明に改善を示した。症例の蓄積により今後統計学的有意差が出る可能性がある点である。慢性期における合併症は4症例共に発症無しであった。 近年、血栓吸引カテや末梢保護器具の発達により、再潅流障害を発症する症例が減少したため症例数が期待通りに増加せず、依然統計学的に有意差が出るには至ってないが、エラスポール使用群の造影上の改善度と急性期の予後がよい印象であり、このまま研究を続けていく所存である。
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