2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制因子の制御を応用した新しい細胞治療の開発
Project/Area Number |
17790510
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
竹下 吉明 久留米大学, 医学部, 助手 (50360285)
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Keywords | 循環器・高血圧 / 再生医学 |
Research Abstract |
近年、四肢の末梢動脈虚血性疾患や虚血性心疾患などに対し、従来の薬物治療、経皮的血管形成術、バイパス手術等に加え、自己骨髄細胞やVEGFなどの血管新生促進因子を用いた血管新生治療が開発された。しかしながら十分な効果が認められない症例が少なからず存在する。ところで主に血管新生治療は血管新生促進因子の補充によるものであるが、生体内には多数の血管新生抑制因子が存在している。しかしながら虚血性血管新生における血管新生抑制因子の役割については現在のところ解明されていない。 昨年度、我々は血管新生抑制因子の中でも最も抑制作用の強いとされるPEDF(Pigmentepithelium-derived factor)が虚血組織においても発現していること、抗PEDF抗体にP]EDFの中和能があることを確認した。さらに虚血モデルに対し抗PEDF抗体を投与し,Laser DopPler Blood fbwを用いて虚血肢の血流回復を観察し、抗体投与群は非投与群と比較し、血流回復が良好であることを確認した。 本年度我々は、虚血モデルに対しVEGF投与を行った場合の虚血組織にお}ナるPEDFの発現を観察(実験1)し、虚血モデルに対するVEGF投与に加え、外因的にPEDFを投与した群,内因性のPEDFを抗PEDF抗体で中和した群について血流回復を観察(実験2)した。さらにPEDFの末梢組織における血管新生抑制のメカニズムにっいて検討した(実験3)。 [実験1]虚血モデル作成後、VEGF投与により虚血組織において対照群(非投与群)と比較しPEDFが強く発現することを確認した。 [実験2]虚血モデルに対しVEGFを投与することで対照群(非投与群)と比較し有意に血流回復を認めるが、これに加え外因的にPEDFを併用投与することで血流回復作用は消失すること、内因性PEDFを抗体で中和することで血流回復はさらに増加することを確認した。 [実験3]虚血組織に対しVEGF投与を行うことで、組織の酸化ストレスは増加し、これにPEDFを併用投与することで減少することをDHE染色を行い確認した。
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