2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790517
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
添木 武 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60393211)
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Keywords | グレリン / ペプチド / 心臓病 / 心臓リモデリング / 治療 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.グラリン投与による直接的心筋保護効果 SDラットにおいて30分間の心筋虚血後再灌流を行い、60分間グレリン(1.8μg/kg/分)または生食(対照群)を静脈投与した。24時間後に心臓カテーテルにより血行動態を調べたところ、グレリン投与群は対照群に比べ左室拡張末期圧が有意に低下し、最大および最小dP/dtが増加していた。それと合致する所見として、摘出心のMasson trichrome染色による梗塞サイズもグレリン投与により有意に減少していた。さらに、TUNEL染色では、グレリン投与によりTUNEL陽性細胞の数が有意に減少していた。また対照群において観察されたDNAラダーもグレリン投与群ではみられなくなった。 さらに、グレリンによる抗アポトーシス効果のメカニズムを調べるために、上記の虚血再灌流モデルに、グレリン単独投与、グレリン+U0126(ERK-1/2の阻害薬)、グレリン+wortmannin(phosphatidyl inositol 3-kinase[PI3K]阻害薬)、および生食の投与を行った。その結果、上術のグレリンの効果はU0126あるいはwortmanninを前投与することにより消失しており、グレリンの抗アポトーシス効果はERK-1/2およびPI3K/Akt serine kinase経路を介したものであることが推察された。 2.心疾患におけるグレリンの病態生理学的意義 ラットの心筋梗塞モデルにおいては、グレリンおよびその受容体(GHS-R)の遺伝子発現が増加していることが定量PCRにより示された。このことから梗塞後心筋において内因性のグレリンが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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