2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドパミンD1およびD2受容体拮抗剤による肺癌治療に関する研究
Project/Area Number |
17790526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅田 成紀 東北大学, 病院, 医員 (20396477)
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Keywords | 肺癌 / ドパミン / 血管新生 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
肺癌は日本において癌死で最も多い。癌研究は生物学的、心理学的、社会学的そして倫理学的な視点からの多面的なアプローチが必要である。肺癌の発症はタバコとの関連が証明されている。しかし、統合失調症患者においては、喫煙が多いのに関わらず、肺癌の発症が少ないと報告されている。統合失調症はドパミン分泌の異常が指摘されており、また、ドパミン受容体の異常やドパミン受容体の減少が指摘されている。ドパミン受容体は7回膜貫通のGタンパク質で魚類、爬虫類、鳥類においても存在し個体の神経制御に深く関わっている。今回、統合失調症のモデルマウスを用い、肺癌の進展について分子生物学的に研究をおこなった。統合失調症のモデルマウスであるドパミントランスポーター(DAT)欠損マウスに肺腫瘍(Lewis Lung carcinoma)を移植しそれを観察した。DAT欠損マウスは野生型マウスに比較し腫瘍増殖を抑制していた。しかし、野生型マウスにDAT阻害剤を投与しても、移植した腫瘍は増殖の抑制はかからなかった。DAT欠損マウスは血清レベルでドパミン量が減少していた。さらにDAT欠損マウスではドパミンレセプターD1が減少していた。また、末梢血管にドパミン受容体D1,D2を確認したところ、RT-PCRにて存在を確認できた。そこで、さらにドパミンレセプターD1およびD2欠損マウスを用いドパミンシグナルと腫瘍増大について研究を進めている。これまでにドパミンが血管新生(VEGF受容体のリン酸化阻害)に関わっている可能性が示唆されているがシグナル伝達については十分なものではなくほかの経路についてタンパク質レベルで調べている。
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