2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺サーファクタントアポ蛋白質による非定型抗酸菌感染防御機構の解明
Project/Area Number |
17790536
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
光澤 博昭 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40325874)
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Keywords | 自然免疫 / 非定型抗酸菌 / 感染症 / 肺サーファクタント |
Research Abstract |
コンプロマイスドホストの増加に伴い、Mycobacterium aviumをはじめとした非定型抗酸菌感染症患者の増加が大きな注目をあびており、その感染防御のメカニズムを解明し、治療法、予防法を確立することが望まれている。 本研究では、呼吸器領域におけるコレクチンサブグループに属する生体防御レクチンである肺サーファクタント蛋白質によるM aviumに対する自然免疫機構の分子機構の解明をすすめた。 肺サーファクタント蛋白Aはその糖鎖認識領域を介して、カルシウム依存性にM aviumに結合することが示された。また肺サーファクタント蛋白Aは、マクロファージによるM aviumの貪食作用を促進させることが分かった。この貪食促進作用はEDTA存在下で菌体との結合を阻害した状態でも認められた。また菌体との結合性の低下を示す肺サーファクタント蛋白A変異体でも、野生型の肺サーファクタント蛋白Aと同程度の貪食促進効果を示した。更に細胞と肺サーファクタント蛋白Aをあらかじめ反応した場合でも同程度の貪食促進効果を示した。これらのことから、肺サーファクタント蛋白Aによる貪食促進作用は、オプソニンとして作用するわけではなく、細胞と直接作用を介して貪食を促進すると考えられた。 肺サーファクタント蛋白Aを介するM aviumの貪食促進効果はマンノース受容体のリガンドであるマンナン、LAMで抑制され、マンノース受容体を介して貪食を促進していることが分かった。更に、肺サーファクタント蛋白Aはマクロファージと相互作用し、細胞表面のマンノース受容体発現を増加させ、その活性を亢進させていた。 以上より、肺サーファクタント蛋白AはM aviumに結合し、マクロファージによる貪食をマンノース受容体を介して引き起こすことが明らかになった。
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