2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺サーファクタントアポ蛋白質による非定型抗酸菌感染防御機構の解明
Project/Area Number |
17790536
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
光澤 博昭 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40325874)
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Keywords | 非定型抗酸菌 / コレクチン / 肺サーファクタント蛋白質 / マンノース結合レクチン / 自然免疫 / マンノース受容体 |
Research Abstract |
近年、呼吸器感染症においてMycobacterium aviumをはじめとした非定型抗酸菌感染症患者が増加傾向にあり、かつ薬剤抵抗性を示す例も増加しており、本感染症に対する治療法、予防法の確立が望まれている。そこで本研究課題では、M.Aviumに対する感染防御機構を解明するために、特に肺サーファクタント蛋白質、及び同じコレクチンサブグループに属するマンノース結合レクチンに着目しM.Aviumに対する自然免疫機構を中心に研究をすすめた。 本研究課題の遂行により、肺サーファクタント蛋白質A(SP-A)が、糖鎖認識領域を介してCa依存性にM.Avium菌体と直接結合することが明らかとなった。さらに、SP-Aがラット肺胞マクロファージやヒト単球由来マクロファージによるM.Aviumの貪食を増加することも分かった。しかし、このSP-AによるM.Avium貪食促進効果は、EDTAやSP-AとM.Aviumとの結合を阻害する特異抗体存在下でも認められることから、菌体との結合には依存せずにSP-AがM.Avium貪食を促進し、オプソニンとして作用していないことが示された。また、細胞とSP-Aをあらかじめ前処理したのみの細胞でもM.Avium貪食促進効果が認められることから、SP-Aと細胞とが直接相互作用することによって貪食促進効果を示していると考えられた。同時に、SP-A存在下において細胞表面のマンノース受容体の発現が増強され、マンノース受容体のリガンドであるマンナン、ザイモザンの存在下で貪食促進効果が抑制されることから、SP-Aが細胞表面のマンノース受容体の活性化しM.Aviumの貪食を促進していることが示された。 一方、マンノース結合レクチン(MBL)はM.Avium菌体と直接結合したがCa非依存性であり、更に細胞表面のマンノース受容体の発現にも影響を及ぼさず、マクロファージによるM.Aviumの貪食促進効果も認められなかった。 以上より、肺コレクチンSP-AとM.Aviumとの相互作用、およびマクロファージによる菌体貪食調節機構が明らかとなった。
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