2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎微小循環における肝細胞増殖因子の病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
17790545
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宇留野 晃 東北大学, 病院, 医員 (90396474)
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Keywords | 肝細胞増殖因子 / 血管新生 / スタチン系製剤 / 腎血流 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
1.目的および方法:腎傷害モデル動物の残存腎の微小血管維持に血管新生因子が関与することが知られる。一方、粥状動脈硬化で新生血管がその不安定化に強く関与することも知られ、腎の血流維持に関して、血管新生因子の重要度は増している。肝細胞増殖因子(HGF)およびスタチン系製剤は血管新生に強い影響を与えることが知られているが、それらの協調作用に関しては不明な点が多い。ヒト皮膚繊維芽細胞と臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を共培養し、HGFおよびフルバスタチン(Flu)を単独または併用下に11日間培養し、管腔の面積・長さを解析した。HUVECをフィブロネクチンコーティングメンブレンによる遊走能を検討し、細胞増殖能をBrdUの取り込みにより検討した。 2.結果:HGFとFluは、それぞれ単独投与で管腔形成を促進した。低濃度FluはHGFと相加的な管腔形成の亢進を認めたが、高濃度FluはHGFによる管腔形成を完全に抑制した。HGFとFluは6時間刺激ではHUVECの遊走能を単独では増強しなかったが、併用群においてのみ増強を認めたが、24時間刺激においては、HGFおよびFluそれぞれ単独で遊走能を増強した。低濃度FluはHGFによる細胞増殖作用を軽度促進したが、高濃度FluはHGFによる細胞増殖作用を完全に抑制した。 3.結論:低濃度Fluは内皮増殖および内皮遊走能を促進することによりHGFの強力な血管新生作用を促進し、高濃度Fluは強い細胞増殖抑制によりHGFの血管新生作用を強く抑制した。病態にあわせたスタチン製剤の投与量の検討が必要と考えられた。
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