2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウム重炭酸共輸送体を標的とした近位尿細管性アシドーシスの分子治療法の開発
Project/Area Number |
17790546
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 秀臣 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60396752)
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Keywords | NBC / pRTA |
Research Abstract |
ナトリウム重炭酸共輸送体(NBC1)の遺伝子異常により眼症状を伴う近位尿細管性アシドーシスが引き起こされる。我々は非常に稀なこの疾患の遺伝子解析を続けてきた。今研究ではこのNBC1の一変異体である開始アミノ酸コドン29番目で読み込みが中止となるQ29Xにおいて、アミノグリコシドによるreadthrough効果を介した分子治療の可能性を探るため実験を行った。しかし、この方法によっても電気生理活性は出現せず、またウェスタン法においての野生型への蛋白を認めなかった。次にNBC1のC末端欠損を持つΔ65baseの機能解析を行った。XenopusOocyteにおいて野生型と電気生理活性に差は認めないため次にCAIIとの結合能の差異を検討した。C端部のみをGST蛋白と融合させCAIIとのプルダウンアッセイを行ったが野生型も含めて結合は確認できなかった。一方、GFPをN端に付加したコンストラクトを作成し、培養細胞(HUVEC、MDCK)にトランスフェクションをし、蛍光顕微鏡による観察をしたところこのΔ65baseは野生型と異なり細胞膜への発現を認めず、細胞内局在に留まったこの結果からこの変異体は蛋白自体には機能低下はないが、細胞膜への移動が障害されるために各種症状を引き起こすことが示された。 またNBC1にはスプライスヴァリアント(腎臓、膵臓、脳型)が存在するがXenopusOocyteにおける機能解析ではkNBC1(腎臓型)と比べて明らかにpNBC1(膵臓型)の電気活性が低下しており、培養細胞の結果と比較してその原因は不明であった。今回、細胞内局在蛋白でIP_3受容体結合蛋白の一つであるIRBITがpNBC1の特異的配列であるN端部に結合することを見出した。OocyteにおいてpNBC1を共発現させるとpNBC1活性は著明に増大し、kNBC1とのほぼ同等の電気活性を認めた。この結果はNBC1のヴァリアント内で細胞内活性化機構に大きな差がある可能性を示した。
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Research Products
(5 results)