2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管炎・糸球体腎炎における血清レクチンMBPの役割
Project/Area Number |
17790557
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
上村 和秀 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20303844)
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Keywords | 糸球体腎炎 / 補体 / レクチン / マンナン結合タンパク質 |
Research Abstract |
マンナン結合タンパク質(MBP)は異物の糖鎖を認識する補体レクチン経路の第一因子であり、自然免疫において重要な役割を果たすことがよく知られている。一方でMBPの炎症の病態生理における関与については、解明されていない点が多い。本研究課題は血管炎・、糸球体腎炎におけるMBPおよび補体レクチン経路の役割解明を目指している。すでに、MPO-ANCA(ミエロペルオキシダーゼー抗好中球細胞質抗体)陽性半月体形成性糸球体腎炎の自然発症モデル動物であるSCG/Kjマウスの糸球体毛細血管係蹄壁および壊死部にL-MBPおよびC4が沈着し、疾患活動性と一定の相関があることを見いだしている。本年度はその病態生理をさらに詳細に検討し、以下の知見を得た。(1)補体C6の沈着がMBPの沈着に伴って認められた。このことは補体経路が実際に作動し組織障害に関与することを示唆している。(2)若齢のSCG/Kjマウスの腎糸球体毛細血管係蹄壁の一部にUEA-1、UEA-2レクチン陽性領域を認め、さらに2重染色によりその一部はL-MBPと共局在していることを見い出した。UEA-1、UEA-2はそれぞれフコース、N-アセチルグルコサミンに特異的であり、これらが認識する糖鎖はMBPによっても特異的に認識されることが知られている。これらのことから、細胞表面糖鎖の変化が引き金となって補体レクチン経路が活性化され、このことが腎炎発症に関与する可能性が示された。
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