2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体修復に関わる新規podocyte由来分泌因子の同定と糸球体再生治療の開発
Project/Area Number |
17790566
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
澤井 一智 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 流動研究員 (80393213)
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Keywords | 糸球体 / 修復 / 再生 / podocyte |
Research Abstract |
糸球体修復・再生におけるCyr61の意義の検討 1)動物モデルを用いた検討 ネフリン遺伝子プロモーターの下流にcyr61 cDNAを接続し、podocyte特異的Cyr61過剰発現マウス(Cyr61Tg)、バキュロウイルスでSf9細胞にcyr61発現遺伝子を導入し精製したリコンビナントCyr61を作製した。このCyr61Tgを用い、抗GBM抗体腎症、糖尿病モデル(STZマウス)、5/6腎摘モデルにおけるCyr61の機能を解析している。STZマウスではアルブミン尿には差を認めなかったが、糸球体腫大は抑制されていた。 2)インビトロの系での作用の検討 培養podocyte・メサンギウム細胞へのリコンビナントCyr61の作用の検討を行なっている。Cyr61はメサンギウム細胞のPDGF-BBによる遊走を抑制した。Podocyteに対してもCyr61は同様に遊走を抑制する効果を示した。さらに、podocyteではsynaptopodinの発現を促進し、分化を促進作用を有すると考えられた。 3)ヒトでの発現検討 正常ヒト腎臓およびヒト胎児腎臓、糖尿病性腎症やIgA腎症を含む各種腎疾患におけるCyr61の発現検討を行なった。正常ヒト腎臓においては、糸球体内では、podocyteに特異的にCyr61の発現を認め、胎児腎でもcapillary loop stageからpodocyteに限局した発現を認めた。各種腎疾患における検討では、podocyteにおけるCyr61発現は微小変化群や巣状糸球体硬化症と比較してメサンギウム領域の拡大したIgA腎症や膜性腎症において低下していた。さらに、メサンギウム領域の著明に拡大したIgA腎症では、その程度の軽度な群と比較して、有意にpodocyteにおけるCyr61の発現が低下していた。
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