2006 Fiscal Year Annual Research Report
腎糸球体修復に関わる新規podocyte由来分泌因子の同定と糸球体再生治療の開発
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17790566
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
澤井 一智 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 特任研究員 (80393213)
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Keywords | CCN1 / Cyr61 / Connexin43 / prodocyte / 糖尿病性腎症 |
Research Abstract |
糸球体修復・再生におけるpodocyte特異的因子の意義の検討 1)動物モデルを用いた検討 Podocyte特異的CCN1過剰発現マウス(CCN1-pod-Tg)、リコンビナントCCN1を作製した。このCCN1-pod-Tgを用い、抗GBM抗体腎症、糖尿病モデル(STZマウス)、5/6腎摘モデルにおけるCCN1の機能を解析した。特にSTZマウスでは、アルブミン尿には差を認めなかったが、糸球体腫大は抑制されていた。また、糖尿病マウス、培養podocyteを用いた糖尿病性腎症におけるpodocyte特異的な遺伝子変化の検討を行い論文に発表した。 2)インビトロの系での作用の検討 培養podocyte・メサンギウム細胞へのリコンビナントCCN1の作用の検討を行なった。CCN1はpodocyte、メサンギウム細胞の遊走を抑制した。さらに、podocyteではsynaptopodin、p27、p57の発現を促進し、分化促進作用を有すると考えられた。 3)ヒトでの発現検討 正常ヒト腎臓およびヒト胎児腎臓、各種腎疾患におけるCCN1の発現検討を行なった。正常ヒト腎臓においては、糸球体内ではpodocyteに特異的にCCN1の発現を認め、胎児でもcapillary loop stageからpodocyteに限局した発現を認めた。各種腎疾患における検討では、podocyteにおけるCCN1発現はIgA腎症、糖尿病性腎症、膜性腎症において低下していた さらに、メサンギウム領域の著明に拡大したIgA腎症では、有意にpodocyteにおけるCCN1の発現が低下していた。 また、糸球体でpodocyte特異的なギャップ結合蛋白connexin43 (Cx43)を見出し、糖尿病性腎症において、このCx43発現変化の程度が腎機能の予後予測因子となることを論文として発表した。
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