2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症の発症、進展に関与する新規moleculeの探索
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17790567
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
槙野 久士 国立循環器病センター(研究所), 動脈硬化・代謝内科, 医師 (80399609)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / マイクロアレイ / 糸球体 |
Research Abstract |
2型糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスを用いて以下の検討を行った。db/dbマウスで糖尿病発症後、尿アルブミンの認められない腎症前期(5週齢)、有意な尿アルブミンを認める腎症早期(7週齢)、組織上明らかなメサンギウム領域の拡大が認められる顕性腎症期(16週齢)の3点において糸球体を単離し、cDNA microarray (MG-U74,Affymetrix)を用いてその対照マウスと比較検討し遺伝子発現プロファイルを解析した。 腎症前期において発現変化していた遺伝子は96遺伝子であった。この中では糖代謝(pyruvate kinase 3など)、脂質代謝(Lipoprotein lipaseなど)、酸化ストレス(Superoxide dismutase 3など)に関係する遺伝子が有意に変化しているとともに糸球体発生に関する遺伝子群(hypoxia iuducible factor 1など)の発現変化が見られた。腎症早期では104遺伝子が発現変化しており、腎症前期で発現変化していた遺伝子群に加えて細胞肥大に関係する遺伝子(cyclin D1など)、podocyte関連遺伝子(dystroglycan1など)に発現変化が認められた。apoptosis関連遺伝子、血管新生関連遺伝子、細胞外基質遺伝子などは腎症後期で初めて増加を認めた。これらの結果から糖尿病性腎症の発症には既に言われている糖脂質代謝異常、酸化ストレスの他に糸球体発生に関与する遺伝子群の発現異常が重要であることが示唆された。また、細胞肥大、apoptosis、血管新生因子の誘導はむしろその進展に関与している可能性が示唆された。
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