2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常および脳病態下のヒトの皮質ネットワーク機構の解明
Project/Area Number |
17790578
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 理器 京都大学, 医学研究科, 医員 (00378754)
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Keywords | ネットワーク / てんかん / 皮質電気刺激 / 誘発電位 / 硬膜下電極 / MRI / 拡散強調画像 / 皮質間結合 |
Research Abstract |
単発皮質電気刺激により皮質間ネットワークを介して近接・遠隔の皮質から記録される皮質誘発電位(Cortico-Cortical Evoked Potential:CCEP)の手法を用いて、本年度は正常ネットワークとして、1)高次運動およびてんかん発作の運動症状の理解に重要な外側・内側の運動野間のネットワーク、2)行為遂行、失行の病態生理に重要な頭頂葉・前頭葉皮質間のネットワークを検討した。1)では、本研究により外側・内側運動前野間の吻尾方向に対応した皮質間ネットワークの存在がヒトで初めて示された。外側・内側運動野間の大多数の皮質間結合には相反性があり、機能的には対応する身体部位の運動野間の連結が見られた(投稿中)。2)では、中心溝より近位および遠位の領野間が一部分散して頭頂葉から前頭葉へとネットワークを形成していた(学会発表)。 病態下でのネットワークとして、CCEPによるfunctional tractographyを用いて、足の一次感覚運動野に位置する皮質異形成内で一次体性感覚野(SI)から運動野(MI)への機能的連結が証明され(病変内に共存する正常ネットワーク)、実際にてんかん性放電の伝播経路となっていた。本症例では、SIのてんかん焦点刺激によりMIから記録されるCCEPを指標に、皮質対電気刺激法を施行し、焦点の皮質興奮性を対照の手の感覚野と比較検討した。焦点では、発作間欠期には対照皮質に比べ亢進していた皮質内抑制が、部分てんかん発作開始時には破綻し皮質興奮性が増大していた(論文報告)。またSIに病変が局在する患者では、SIからMIへのネットワークの障害のため一次感覚運動野の発作発射で対応する身体部位に限局するてんかん性単麻痺が出現しうることを報告した(論文報告)。 拡散強調画像を用いた解剖学的連関の解析については、3テスラMRIを用いた81軸の傾斜磁場によるprobabilistic tractographyの測定・解析の予備研究を行い、来年度にCCEPの手法と組み合わせて、機能・解剖の両面から正常・病態下のネットワークを解析予定である。
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