2006 Fiscal Year Annual Research Report
正常および脳病態下のヒトの皮質ネットワーク機構の解明
Project/Area Number |
17790578
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Utano National Hospital |
Principal Investigator |
松本 理器 独立行政法人国立病院機構(宇多野病院臨床研究部), 研究員 (00378754)
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Keywords | ネットワーク / てんかん / 皮質電気刺激 / 誘発電位 / 硬膜下電極 / MRI / 拡散強調画像 / 皮質間結合 |
Research Abstract |
単発皮質電気刺激により皮質問ネットワークを介して近接・遠隔の皮質から記録される皮質誘発電位(Cortico-Cortical Evoked Potential : CCEP)の手法を用いて、昨年度に引き続き、高次運動およびてんかん発作の運動症状の理解に重要な外側・内側の運動野間のネットワークについてデータ解析を行い、その成果を国際学術誌に報告した(Matsumoto et al.,Brain 2007)。 このCCEPの手法を用いて、前方・後方言語野間の双方向性の機能的連結をin vivoで明らかにしてきたが(Matsumoto et al.,Brain 2004)、近年、拡散強調画像によるトラクトグラフィーの手法を用いて、その解剖的礎となる弓状束の存在が生体脳で明らかにされた。言語機能の特徴として、大脳半球間での機能分化が挙げられるが、本年度はこの機能分化の解剖的基礎となる弓状束の非対称をトラクトグラフィーにより明らかにした。和田テストで言語優位半球が確定され、弓状束に病変がない症例で、前頭・頭頂葉間(FP fiber)と前頭・側頭葉間(FT fiber:狭義の弓状束)の線維束を描出し、半球間差を統計学的に検討した。FT fiberのみ半球間差(言語優位半球でより明瞭)が存在し、言語機能との関連が示唆され、非侵襲的な言語優位半球の同定に役立つ可能性がある。病変が言語優位半球に存在する場合は、非優位半球に位置する場合より弓状束(FT fiber)の側方性が小さくなり、病変による言語ネットワークの変容(可塑性)を反映しているかもしれない。国際学会で成果発表し、現在投稿中である。今後、海馬硬化など単一病態での検討を予定している。 また、本年度はCCEPによる機能的連関とトラクトグラフィーによる解剖学的連関を同一患者で施行することにより、機能・解剖の両面からの複合的なネットワークの解析に着手した。現在、後方言語野と側頭葉底面言語野間の言語ネットワークと2次性てんかん原性獲得に関わる皮質問ネットワークに焦点をあてて研究に着手している。
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Research Products
(9 results)