2006 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸輸送体異常とリン酸化タウの相互作用の解析
Project/Area Number |
17790592
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
志村 秀樹 順天堂大学, 医学部, 助手 (50286746)
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Keywords | アルツハイマー病 / タウ / 進行性核上性麻痺 / 大脳皮質基底核変性症 / タウオパチー |
Research Abstract |
過剰リン酸化タウに結合する蛋白質としてグルタミン酸輸送体EEAT2を同定し、タウオパチーにおけるリン酸化タウとの相互作用を解析した。 {方法・結果}PHFタウカラム、合成リン酸化タウカラムを用いて健常人剖検脳抽出液よりPHFtauに結合する蛋白質を精製。分離し、質量分析器にてグルタミン輸送体EEAT2を同定した。EAAT2は通常ダリア細胞に発現しているがタウオパチー脳では神経細胞に発現し、アルツハイマー病脳の神経原綿維変化、進行性核上性麻痺脳glial fibrillary tangles、大脳皮質基底核変性症脳神経原綿維変化にリン酸化タウとともに局在していた。アルツハイマー病脳サルコシル不溶性分画(PHF分画)には全長EAAT2とともにN末端EAAT2が認められた。一方健常人脳のサルコシル不溶性分画にはEAAT2は認められなかった。AD脳、PSP脳を用いた抗タウ抗体による免疫沈降では全長、N末端EAAT2はリン酸化タウと共沈降した。抗EAAT2抗体による免疫沈降ではリン酸化タウが共沈降した。一方健常人脳では共沈降されなかった。またアルツハイマー病、進行住核上性麻痺のタウオパチー脳に発現しているEAAT2は健常人脳に発現しているEAAT2より、リン酸化タウに結合し易い傾向があることを明らかにした。また新たに作成した新規抗EAAT2抗体においても同様の結果を確認した。EAAT2とパーキンソン病原因蛋白質α-synuclein、アルツハイマー病原因蛋白質アミロイドβとの間に明らかな結合は認められなかった。これらの結果よりグルタミン酸輸送体EEAT2はリン酸化タウとともにタウオパチー発症に関与していることが示唆された。
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