2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17790605
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
海老原 健 京都大学, 医学研究科, 産学官連携講師 (70362514)
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Keywords | 脂肪萎縮症 / 脂肪萎縮性糖尿病 / セイピン遺伝子 / AGPAT2遺伝子 / アディポサイトカイン |
Research Abstract |
昭和61年に行われた厚生省特定疾患、難病の疫学調査研究班による「脂肪萎縮性糖尿病の全国調査」において先天性症例が20例報告されている。また平成15年に我々が行った日本内分泌学会専門医を対象としたアンケート調査では7例の先天性症例を見いだした。これらの調査では全身性症例と部分性症例の区別がなされていなかった。今回、先天性全身性症例に限定して全国より9症例をリクルートし、海外において先天性全身性脂肪萎縮症の原因遺伝子として報告されているセイピン遺伝子とAGPAT2遺伝子について翻訳領域の塩基配列を直接シークエンス法により決定し、変異の有無を検索した。またこの疾患は一般に常染色体劣性の遺伝形式をとることから症例および両親を含めた血縁者を対象にセイピン遺伝子あるいはAGPAT2遺伝子近傍のマイクロサテライトマーカーを用いたハプロタイプ解析を施行した。その結果3つの新しいセイピン遺伝子異常(2つのナンセンス変異と1つのミスセンス変異)を見いだした。9例中7例ではこのいずれかの変異をホモで有していた。この7例の両親はいずれも変異をヘテロで有していた。9例中2例においてはセイピン遺伝子とAGPAT2遺伝子のいずれにも変異は認められず、ハプロタイプ解析においてもセイピン遺伝子あるいはAGPAT2遺伝子の近傍を含めた遺伝子異常の可能性は低いと考えられた。次に9症例を対象にDEXA法を用いた体脂肪率、MRIを用いた体脂肪分布、アディポサイトカインであるレプチンの血中濃度および糖脂質代謝について検討を行った。セイピン遺伝子に変異を有する7症例はいずれも著しい体脂肪率の低下、低レプチン血症とともに重度の糖脂質代謝異常を認めたが、セイピン遺伝子とAGPAT2遺伝子のいずれにも変異は認めなかった2症例のうち1症例では頭部や手足に残存脂肪組織を認め、また1症例では脂質代謝異常が認められなかった。以上より我が国における先天性全身性脂肪萎縮症の原因遺伝子はセイピン遺伝子異常が主でありAGPAT2遺伝子はあっても稀であると考えられた。また表現型の異なる2症例については新たな原因遺伝子の存在が示唆され今後の検討が必要である。
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Research Products
(6 results)